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【SDGs】地球にやさしい段ボールを通じて「環境のエバンジェリスト」に

2022.04.02
(写真左より)販売部の水野日出歩さん、平田顕社長、同じく販売部の西田早希さん。

 

荷物の郵送や引っ越し、ネットショッピングなど、わたしたちの暮らしに欠かせない段ボール。実は古紙回収率、再利用率が極めて高く、環境に優しいことはご存じだろうか。高槻市にある大阪紙器工業株式会社は、2015年に国連で採択されて間もない頃からSDGsに注目。2018年にはFSC®︎認証※を取得するなど自社としてSDGsに取り組むとともに、顧客への普及や提案も行っている。代表取締役・平田顕さんらに話を聞いた。

※ FSC®︎認証とは
持続可能な森林活用・保全を目的として誕生した「適切な森林管理」を認証する国際的な制度。環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林からの製品を目に見える形で消費者に届け、それにより経済的利益を生産者に還元する仕組み。

ほぼ100%リサイクルでFSC®︎認証(FSC®︎-C139841)も取得

全国段ボール工業組合連合会によると、段ボールはほぼ100%がリサイクル可能であり、国内の段ボール回収率は95%。段ボール原紙の原材料の90%以上が使用済み段ボールという。同社で作成する段ボール製品は、FSC®︎認証を取得した段ボール原紙を使用している。

取引先企業のSDGs取り組み応援

「ここ1、2年でSDGsという言葉も広がってきました。それに合わせて『SDGsを取り入れたい』と考えるお客様も増えてきました」と平田さん。同社では顧客の要望に応じて、蓋を開けたときに分かるよう、外側から見えない内蓋「フラップ」の面にSDGsの取り組みを記載したり、外面にFSC®︎認証が分かるよう印字している。「業界では有名なFSC®︎認証も一般の方にはあまり知られていないため、底面など見えない部分に印字するように依頼されるケースもあります。でも環境に優しい紙を使っているのは誇るべきこと。見える場所に印字することに意味があると思います」。実際に取引先A社でFSC®︎認証の段ボールを使用したところ、A社自体は特にアピールしていなかったが、A社の商品を購入したエンドユーザーが「A社がこのような形で社会貢献している」とSNS上にアップしたということもあった。

蓋の一面にSDGsの取り組みや外面にFSC®認証マークを入れて取り組みをアピール。

また「脱プラ梱包」として、100%段ボール古紙の緩衝材も昨年末から取扱いを開始した。まだまだプラスチックの緩衝材の方が一般的である中、最近注目を集めている素材だ。取引先は業種も規模も多岐に渡り、SDGsの取り組みや理解の度合いもさまざま。しかし今後、SDGsや環境を配慮したビジネスが加速していくのは間違いない。同社では「ただ商品を売るのでなく、“環境のエバンジェリスト”として提案できる会社でありたい」と考え、社員の教育にも力を入れ、環境に対する資格の取得を推進するなどしている。

8代先の幸せを長期スパンで考える

「いまを生きるわたしたちは、『8代先の人々が幸せになるか?』という長期的スパンでものごとを考るべきです。まずは1人ひとりができることを愚直に実行し、企業としても環境に優しい取り組みをすること。日本は段ボールに限らず、リサイクル率の高い優秀な国ですから、原点回帰をすればいいんです」と平田さんは力を込める。

回収率・再生率の高い段ボールでFSC認証も取得。また顧客へのSDGs取り組み提案も実施。


PROFILE

大阪紙器工業株式会社
段ボール・紙器・紙加工品などの製造、販売を行う。地元密着型で90年を超える老舗でもある。平田顕社長は4代目。
所在地:高槻市宮田町1-3-2
https://www.osakashikikogyo.com/

 

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