-豊中市-服部天神駅前の広場整備に向けたワークショップを開催
2022.09.01
メイン写真出典:服部天神駅前広場整備 ワークショップレポートvol.4より
車と歩行者が錯綜していた服部天神駅前の広場整備に向け、市民の声を聞くためのワークショップが、豊中市都市計画推進部都市整備課によって開催された。参加者の一人で、駅前広場を3代に渡って見守ってきた『喫茶ピーコック』の店主、上芝英司さんに、ワークショップの様子と町への想いを聞いた。
服部天神駅前の安全性を高め、魅力的な広場空間を確保
阪急宝塚線の服部天神駅前はロータリーが無く、踏切待ちの車と歩行者の往来で混雑することが多く、長年の課題となっていた。豊中市は服部天神駅前における地域の顔としての魅力的な広場空間の確保と駅利用者の安全性、利便性の確保等、交通結節点としての機能強化を図るため、駅前広場の整備を進めることとなった。2026年3月完成予定を目指して進められている。
さらに市民の声を取り入れて計画に反映させるべく、豊中市主催で市民と一緒に駅前広場を考えるワークショップを開催。一般公募で延べ43名の市民が参加し、4つの班に分かれて「駅前広場の使い方やしつらえ」について意見交換が行われた。その参加者の一人が、駅前広場にある『喫茶ピーコック』の3代目店主、上芝さんである。
喫茶ピーコックから見える服部天神駅前の風景。上芝さんは、誰よりもこの場所にいる時間が長いので思い入れも人一倍強い。
服部天神には大きな神社と商店街があるため、上芝さんが第一世代と呼ぶ祖父世代が働きざかりであった昭和40年〜50年頃は商店会を中心に賑わっていた。40代の上芝さんは第三世代にあたる。店同士が家族ぐるみで付き合っていた第一世代の頃と比べて、職住分離が進んだ現在では繋がりが希薄になり、商店会の会員は減っていた。「商店街を再編成したくても話し合う場がなかったから、ワークショップはいい機会でした。今まで距離があった人とも話せたし、地元の人の関心が一斉にこの広場整備に向いたんです。防災や町の景観について、年配の人と若い人が話をしているのが良かったですね」。
自分たちの地元の未来の話だから自分たちで考えたい
上芝さんはこれまでにも地元を盛り上げるべくいくつもの町イベントを企画・実施してきた。その根底にあるテーマが“自治”だ。自分たちの町は自分たちで守っていきたいから、これから町を作っていく世代の人たちと一緒にワークショップに参加したそう。
ワークショップが実施されたのは3回。参加者が出し合ったアイデアは、道路交通法など色んな条件をクリアにして実現できるようブラッシュアップされた。その中で『服部天神宮にゆかりある梅の木を植える』というアイデアをどう実現するかが課題に。梅の木は管理が難しく、維持管理費もかかる。「市職員の方が親身になって色々手を尽くしてくれたのは感動しました。だからこそ言い出した僕たちも、お金と人を集めて持続しなくては、と知恵を出し合う。そういった話し合いの場を持つことで集まる機会が増えました。手がかかる町ほど愛着が湧く、そういう意味での下町感は残したいですね」と上芝さん。コロナ禍を経て、不足物資をすぐに分け合える近所の人たちのありがたさを感じたので、人との繋がりを増やして他の町から来た人にとっても暮らしやすい町になれば、と願っている。
昔のように大きい神輿が駅前に集合できるよう、段差の小さい構造にする予定。
地元に根付いたコミュニティで近所の人たちと文化を作っていく
イベントスペースができる事も話題になった。「スペースを有効活用するためにも、やりたいイベントを実現するプラットフォームを作りたくて、個人的に立ち上げたのがネオ自治会『ハットリー!』です。デザイン、サイト運営、財務など服部に住む人だけで構成し、各々が持つスキルをお金に変えるのではなく、町づくりに参加して楽しんでもらう。イベントは成功するかどうかより、その翌日からみんなの関係性が変わるのがいいんです。それを繰り返して町の文化とノリを自分たちで作っていきたい。ワークショップによって、今まで接点がなかった人たちの考えを知ることができたのは財産になりました。今後は地元の人たちが気軽に参加できる勉強会や町会議をもっと増やしたいですね」と上芝さん。町づくりに関わる人が増えると町は活性化する。駅前広場が完成する頃には、服部の町がさらなる賑わいを見せることだろう。
「防災対応施設」や、車椅子等の人が雨に濡れずに送迎できるよう「屋根通路シェルター」を設置予定。足の神様である服部天神宮にちなんだ「足形ベンチ」は上芝さんの班のアイデア。 出典:服部天神駅前広場整備 ワークショップレポートvol.4より
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