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【レポ】大阪日本民芸館50周年記念「濱田庄司と柳宗理 ―ふたりの館長―」秋季特別展

2022.09.20

現在大阪日本民芸館では“秋季特別展 大阪日本民芸館50周年記念「濱田庄司と柳宗理 ―ふたりの館長―」”が開催中です。

陶芸とプロダクトデザイン、それぞれの分野を牽引した濱田庄司(1894-1978)氏と柳宗理(1915-2011)氏。

濱田氏は大阪日本民芸館の初代館長を、柳氏は二代目館長を務め、同館には彼らにゆかりの作品が多数収蔵されています。

分野は違えども、二人の館長は大阪日本民芸館の萬集や展示に関して、一様に「新作の蒐集・紹介こそ目標であり使命」と考えていたそうです。

 

20年ほど前に、合理性を求める家人が手にしたグッドデザイン賞受賞のやかんを購入したことが柳宗理プロダクトとの初めての出会いでした。

“めちゃくちゃ使いやすいのにインテリアにもなるくらい素敵なデザイン。これが機能美か!”とすっかり私がファンに。

「民藝」の知識はほとんどない私ですが、“こんな貴重な機会を逃す手は無い!”と見学に行ってきました。

 

 

 

 

入館して直ぐにテンションがマックスに。

憧れの柳宗理の「エレファントスツール」や「バタフライスツール」などが揃ってがお出迎え。

勿論触れることはできませんが、なんと、こちらで予約することができます。

 

 

 

 

 

 

そして無料で観覧できるミュージアムショップにも民藝ファン垂涎の品々が。

“直ぐにでもお買い物に興じたい!”そんなはやる気持ちを抑えながら先ずは展示ブースへ。

 

 

 

 

 

こちらも圧巻。

先ずは初代館長である濱田庄司氏のお仕事が並びます。

氏は、同館の前身となるパビリオン「日本民藝館」(大阪万博にて出展)で名誉館長を、1972年に「大阪日本民芸館」が開館して以降は亡くなる直前まで館長を務められました。

パビリオン「日本民藝館」では、民藝の将来性を示すという方針を主導し、自ら展示ケースの設計にも参加。

大阪日本民芸館として開館して以降もその方向性は変わらず、新作の蒐集を積極的に行ったそうです。

 

 

 

 

「キャー!!!」

第二展示室に入った途端に思わず声が出てしまいました。

私の理想がここに集結しています。

二代目館長である柳宗理氏は、1978年から館長を務め、インドを中心に海外の染織品や沖縄の陶磁器、そして濱田氏と同様に当時の新作の蒐集に携わりました。

さらに、展覧会のポスターや図録の製作も手掛け、デザイナーとしての手腕も発揮。

私もすっかり虜です。

 

 

 

 


同展では大阪日本民芸館の館長としての濱田庄司・柳宗理に着目し、彼らにゆかりの収蔵品や彼らと民藝との出会いによって生まれた作品が紹介されています。

それぞれがどのように民藝と向き合い、館長としてなにを遺したのか、ふたりの館長の仕事の軌跡を見ながら、感じながら過ごせる貴重な時間でした。

 

 

 

 

 

 

 

そして(私的)お待ちかねのミュージアムショップは、じゃじゃーん。

スリップウェアや染物、書籍など民藝にまつわる品々が一堂に会しています。

展示同様こちらも貴重なラインナップ。

 

 

 

 

 

記念日ごとに買い足してきた柳宗理ですが、今回は誕生日が近いこともあり一緒に行っていた友人がカトラリーをプレゼントしてくれました。

友人はスリップウェアを購入していましたが、既に品切れのお品が。

包装も民芸館らしく本当随所に趣が感じられます。

 

 

 

 

期間中、柳宗理氏のご子息である柳新一の座談会や呈茶など関連イベントも多数開催されます。

私は次回はギャラリートークに参加して、「どうして私の故郷の伝統工芸品はここにはないのか。柳宗理は何故インドの織物に魅せられたのか」などの素朴な疑問をぶつけてみたいと思います。

ミュージアムショップは無料で観覧できるので、ファンの方はショッピングを楽しむために足を運ぶのも良いかもしれません。

貴重な機会を是非お見逃しなく!

講演会などの詳細は公式ホームページを。

 

 

 

 

 

<大阪日本民芸館50周年記念「濱田庄司と柳宗理 ―ふたりの館長―」概要>

■会期:9月3日(土)~12月13日(火)
■開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
■休館日:水曜日 ※11月23日(水・祝)は開館

■入館料:一般710円・高大生450円・小中生100円(20名以上は団体割引)

 

 

◇記念講演会◇
「民藝館の仕事―歴代館長・濱田庄司、柳宗理を通して―」
日時:12月4日(日)14:00~15:30(13:30開場)
講師:杉山亨司氏(日本民藝館常務理事)
会場:国立民族学博物館・第5セミナー室(大阪日本民芸館向かい)
定員:90名(要予約)
聴講料:300円(別途大阪日本民芸館入館料が必要)

◇呈茶◇
日時:12月4日(日) 11:00~16:30
担当:大阪日本民芸館友の会有志
会場:大阪日本民芸館・渡り廊下
料金:500円(お抹茶とお菓子)※別途入館料が必要、予約不要。

◇座談会◇

□第一回 「民藝⊂プリミティズム」
日時:10月8日(土)14:00~15:30(13:30開場)
話し手:柳新一氏(柳工業デザイン研究会理事長)
山本教行氏(陶芸家、クラフト岩井窯主宰)
会場:国立民族学博物館・第5セミナー室(大阪日本民芸館向かい)
定員:90名(要予約)
聴講料:300円(別途大阪日本民芸館入館料が必要)

□第二回 「今までの50年、これからの50年」
日時:11月3日(木・祝)14:00~15:30(13:30開場)
話し手:柳新一氏(柳工業デザイン研究会理事長)
高木崇雄氏(「工藝風向」店主・日本民藝協会常任理事)
会場:国立民族学博物館・第5セミナー室(大阪日本民芸館向かい)
定員:90名(要予約)
聴講料:300円(別途大阪日本民芸館入館料が必要)

◇はじめての「民藝」「民藝運動の眼 ―濱田庄司の作品から」◇
初心者の方に向けて、分かりやすく解説します。
日時:11月20日(日)14:00~15:30(13:30開場)
講師:小野絢子(大阪日本民芸館学芸員)
会場:大阪日本民芸館・会議室
定員:20名(要予約)
聴講料:300円(別途大阪日本民芸館入館料が必要)

◇ギャラリートーク(学芸員による展示解説)◇

9月11日(日)、23日(金・祝)、10月2日(日)、22日(土)
11月13日(日)、26日(土)、12月11日(日)
各回:14:00~14:30
参加費:無料 (※別途入館料が必要、予約不要)

 

《関連イベント》ご予約は、大阪日本民芸館まで(℡ 06-6877-1971)
※新型コロナウィルスの影響により、イベントが中止、延期になる場合があります。最新情報は同館ホームページにて確認下さい。

 

 

編集部 井上

 

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。