俳句コーナーVOL.38 入選作品を紹介!
2022.10.30
9月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
糸瓜忌の水満ちてゆくホースかな
箕面市 高橋 真美
糸瓜忌は子規忌のこと。子規の博識はこのホースの水のようなものだっのでしょう。忌日の句は難しいですが、その人をことを慮れば自ずと景として描くことができます。「水満ちてゆく」はまさしく正岡子規です。
【 入 選 】
誕生の知らせ次々ねこじゃらし
茨木市 河本 要
孫の誕生ですがその言葉はありません。ねこじゃらしが想像させてくれます。
むかご摘む姉の背中の丸くなり
吹田市 堀田 恵美子
或る時、はっと気がつくことがあります。それは自覚することでもあります。
抜け道の小さな踏切鳴りて秋
茨木市 藤井 晶子
最後の秋が響きます。秋が深まれば、どこでも秋を見つけることが出来ます。
秋風に上手に乗りて逝きし君
吹田市 森戸 秀次
死は悲しい。それでもこのように詠うことによって、悲しみがやわらぎます。
白桔梗この頃少し命惜し
茨木市 廣田 静子
季語がなければ呟き。白桔梗がこの呟きをポエジーに昇華させました。
【 佳 作 】
光悦の大書を支ふ忍草
豊中市 小野 雄希
卓上に月の光や日記帳
茨木市 瀬津 清美
爽やかに路面電車の鐘の音
松戸市 吉沢 美佐枝
木枯らしの「泣いているね」と言ふ幼な
吹田市 小澤 桔梗
雨音を閉ぢ込めてゐる青棗
豊中市 山上 秋葵
◆ つぶやき評 ◆
俳句は詩です。理屈や説明を嫌います。散文に慣れているので、分かってもらおうとして言葉を継ぎ足したり理由を述べたりしてしまいます。そうすると詩は逃げてゆきます。いかに言葉を減らし、詩の世界へ入り込むかです。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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