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「子ども食堂」をテーマに追手門学院大学の学生たちが演劇を通して伝えたかったこと

2022.12.12
写真撮影:飯田拓

 

11月18日(金)〜11月21日(月)に茨木市の追手門学院大学・安威キャンパスで、同大学の舞台表現プロジェクトSTEPによる公演「ボクモ、僕も」が行われた。プロジェクトの顧問である社会学部准教授の横田修先生と、脚本・演出・出演で同公演を作りあげた学生の皆さんに話を聞いた。

子ども食堂の持つ意味や必要性を問いかける内容

2016年に設立された追手門学院大学社会学部の舞台表現プロジェクトSTEP。学生とプロのアーティストが手を組んで、一般の観客の鑑賞に堪える舞台芸術作品の制作を行っており、今回上演された「ボクモ、僕も」で第10回公演となった。「社会学部のプロジェクトですが、すべての学部の学生が参加可能です。現に今回の脚本は心理学部の田中さんが、演出は経済学部の石橋さんが担当しています」と横田先生。

田中育(はぐみ)さんは心理学を学び、いずれは子どもに関わる仕事に就きたいと考えているなかで、子ども食堂に興味を持ち、実際にボランティアとして活動。「そこでの経験をもとにこの脚本を書きました。利用者の複雑な家庭環境や食堂の財政難、地域の人々との関係など、子ども食堂を通して垣間見える社会の問題をみんなで考えるきっかけになればと思っています」と田中さん。 演出は演劇科のある高校に通っていた石橋凜さんが担当。「高校3年生の終わりにちょうどコロナ禍になって、卒業公演も多くの人に見てもらえたわけではなく、不完全燃焼のモヤモヤを抱えたまま大学に入学。学内のメッセージボードでSTEPの存在を知り、〝これだ!〟と思い、参加しました」。

そして、子ども食堂のボランティアの1人を演じた白髭希生(のぞみ)さんは、第9回公演から参加。「その時は裏方で音響を担当していましたが、今回は演者として舞台に立つことになり、プレッシャーを感じています」と話す。ほぼ主役とも言える役に白髭さんをキャスティングしたのは演出の石橋さんだ。「私もこれまでは演者として横田先生の演出を受けていたのですが、今回は自分がその大役を担うことになり、物語全体を俯瞰で見ることの大切さやみんなをまとめる難しさを痛感しました。でも貴重な経験ができ、充実した時間を過ごせたと思います」。

演出を担当した 経済学部3回生・石橋凜さん

 

脚本を手がけた 心理学部3回生・田中育(はぐみ)さん

 

物語のキーパーソンを演じた 心理学部2回生・白髭希生(のぞみ)さん

テーマについて、知見を広める それこそが「学び」

この舞台を行うにあたって、メンバー26名のうちの多くが大学近くの『子民家よってこ食堂(耳原)』で子ども食堂のボランティアを経験。実際に運営されている方から話を聞き、様々な苦労や問題点を知った。「物語を作るとなると、そのテーマについて調べることになる、それこそが〝学び〟だと思っています。今回の脚本は、僕がやりなさいと言ったわけでなく、田中さんが自ら持ち込んだもの。社会に関心を持ち、学生が自分たちで調べたり、学内の専門の先生に話を聞いて知見を広めていくことができたのではないかと思います」と横田先生。

学内での公演は終了したが、12月4日(日)には静岡県藤枝市の白子ノ劇場で昼と夜の2回公演が控えている。「子ども食堂は、様々な子どもたちが安心して家庭のような空間で、誰かとともに一緒にごはんを食べることができる場所です。子どもたちを地域で見守ることの大切さが伝わればいいなと思っています」と田中さん。

社会学部准教授の横田修先生は、筑波大学卒業後、平田オリザ氏率いる劇団「青年団」入団。1999年に演劇集団【タテヨコ企画】を旗揚げ。現在も小劇場シーンにて幅広い活動を展開している。

 

追手門学院大学 社会学部 舞台表現プロジェクトSTEP

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