家族で音楽を楽しめるから、どんどん人気が広がる ママサークルによる吹奏楽コンサート『ぽこフェス!』
2022.12.27
主催の『ブラスサークル*ぽこあぽこ』は子育て中のママとパパが多いため、『ぽこフェス!』は子どもも楽しめるように工夫をしている。クラシックを知らなくても楽しめる曲と、アニメや映画等の選曲。演奏と共に曲にちなんだ寸劇も見せてくれる。衣装・小道具・大道具もすべて手作りして、大ホールを満席にするほどの人気フェスを9年も開催し続けている。その魅力について話を聞いた。
豊中の育児サークルとして始まったママさんのブラスバンド
2006年、乳幼児の子育て中だったママたち約20名が集まって『ブラスサークル*ぽこあぽこ』は結成された。楽器は壊れやすいため、普通の市民ブラスバンドは練習時に幼い子どもを連れて行くことができない。そこで楽器演奏をもう一度やりたい人達が育児サークルとして呼びかけたのが始まりだった。
『ぽこあぽこ』は子連れOKで平日午前の活動のため参加しやすく、1年でメンバーは40名まで増え、一回目の演奏会がすぐに開催された。しかし当時は、「音楽の経験が少ないから邪魔になるのでは…」と演奏会に出たがらないメンバーもいたそう。「それでもいいんです。自分ができるところだけでも参加して、みんなで演奏したことで達成感を得てくれたらいい。ただ音楽を楽しんでほしいだけなんです」と代表の藤井さん。出原さんはそんな姿勢に惹かれて参加した一人で、出産するまではプロのフルート奏者だった。「プロの音楽界は厳しくて、もう楽しい音楽はできないのか、と落ち込んでいた時にこのブラスバンドに出会い、一気に将来が明るくなりましたね」と語る。
文化祭のように皆がやりたい事をやればいい、が形になっていく
演奏会を重ねていくうちに、もっと子どもに楽しんでほしい、自分達も楽しみたい、と提案されたのが寸劇だった。「お面だけの演出から始まったのに、衣装を作れる人、工作が上手な人、ダンスを踊れる人など、次々とみんなの得意なことが集まって、演奏と同じくらいレベルアップしていったんです。寸劇を取り入れたことで、いろいろなメンバーにスポットが当たる機会が増えるのが良かった」と藤井さん。「難しい演出も何故かここでは“やれるかも”と思える雰囲気なんです。だから誰もがアイデアが出しやすい」と出原さん。そうやって今なお進化し続ける演奏会『ぽこフェス!』は定着していった。
自分だって何かができる、観客もそう思えてくる不思議なフェス
観客だった子ども達が成長し、フェスを手伝ってくれたり、音楽を始めた子もいる。通常のオーケストラのコンサートは幼児を連れていけないのでこの経験は貴重だそう。さらに観客であるお母さん達にも影響を与えていた。「同世代が舞台で頑張っているのを見て“私も何か始めたい、私にも何かできるのでは”と勇気づけられるようです。だから、子どもがいるからと諦めるのではなく、全部やってみたらいいじゃない!と伝えたい。学生時代に音楽をやっていた人は、せっかく努力して楽器を演奏する技術を身に付けたのだから、それを活かして今から楽しまないと!」と藤井さんが言うと、「皆さん、まずは『ぽこフェス!』を観に来て音楽を楽しんで!」と出原さんが声を合わせた。
現在のメンバーは豊中と池田の人を合わせて約70名。20?50代の子育て中の母親が多くを占め、男性のメンバーも加わった。2022年11月の「ぽこフェス!」は豊中市立文化芸術センター大ホール1200席が満席になった。2023年は11月19日(日)に同ホールで開催予定。
「アラジンと魔法のランプ」の衣装や大道具、小道具もメンバーが制作。世界観をみごとに再現している。
代表の藤井祐子さん(左)とメンバーの出原香織さん(右)
ブラスサークル*ぽこあぽこ
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