俳句コーナーVOL.41 入選作品を紹介!
2023.02.05
12月25日締切りでご投句いただいた中から、山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
● ● ●
【 優秀賞 】
靴下に左右なかりけり今朝の冬
中華人民共和国 楊 明枳
靴下に右と左があるのだと意識することはないでしょう。掲句は、そのことに改めて気がつくのが、冬の始まりだと詠っています。寒さをもって靴下というものを見つめているのです。このような発見が詩となってゆきます。
【 入 選 】
珈琲と句集とショパン冬の空
高槻市 土井 郁斗
名詞だけでも俳句になるということです。乾ききった明るい冬空が見えます。
お香炉の砂のなだらか石蕗の花
和泉市 押見げばげば
季語が一句を引き締めています。石蕗の黄の鮮やかな色が印象鮮明です。
星空のとろりと溢れ冬至風呂
豊中市 山上 秋葵
柚子の浮かぶ冬至風呂。満天の星空も溢れています。「とろり」が秀逸です。
北風を組み伏せている草野球
茨木市 河本 要
草野球に興じる大人たち。敵はまず北風。勝負はついているようです。
凩や子規の見た色聞いた色
大津市 近江 菫花
子規はどんな色を見たり聞いたりしたのでしょうか。凩に思いが寄ります。
【 佳 作 】
切っ先の鋭き構え月凍る
吹田市 小澤 桔梗
窓越しに見る粉雪の天使かな
箕面市 福原 千鶴
輪郭の引き締まりたる冬の月
茨木市 山﨑 登代子
冬温しほうろう鍋の円やかや
茨木市 藤井 晶子
山茶花や庭師あれこれ腰に吊り
箕面市 清水 寿恵子
◆ つぶやき評 ◆
さあ、春です。少しずつ温かくなり、自然との交歓もほっこりしてきます。じっくりと対峙してください。五感を通しての句作です。見えるものだけでなく、聞こえるもの、匂い、肌の感触。すべて詩につながってゆきます。
● ● ●
〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
● ● ●
【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
● ● ●
山口昭男先生の最新巻の紹介
シリーズ自句自解Ⅱベスト100 山口昭男定価1500円+税 版元 ふらんす堂
既刊句集より100句抄出して著者みずからが解釈を付したもの。一句が出来上がるまでの作家の推敲のあとをたどることができ、実作者の句作りにおおいに役立つ入門書である。(Amazonなどで販売中)
記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。