俳句コーナーVOL.42 入選作品を紹介!
2023.03.05
1月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
着ぶくれてどどど輪転印刷機
和泉市 押見げばげば
印刷所の輪転機の音はかなり大きい。その仕事をしながらも寒さに耐えている姿が浮かび上がってきます。「どどど」という擬音がすべてのことを物語っています。人を描く。これも俳句のひとつの姿です。
【 入 選 】
顔舐めて猫の新年始まりぬ
豊中市 小倉 佳子
人間の新年とは違います。猫の新年とは、このように平凡です。
お新香を切る包丁の音や五日
高槻市 葉月庵 郁斗
お正月も五日ともなれば、新香の味が懐かしくなる頃。包丁の音もまた。
白菜を赤子のやうに抱きにけり
豊中市 山上 秋葵
大事に育てて収穫した白菜。その愛おしさが伝わってきます。
熱の子の薬と水と雪兎
吹田市 秋山 寛
熱を出している子供へのいたわり。雪兎がすべてを代弁してくれています。
薄氷の呟くごとく解け始む
高槻市 佐竹 美和子
「呟くごとく」で、春の氷がゆっくりと解け始めているのが見えてきます。
【 佳 作 】
猫や毛に小春たくわへふくらめり
茨木市 暖井 むゆき
鳴り止まぬ踏切の音冴ゆる鉄
茨木市 藤井 晶子
吹くほどに昭和近付くしゃぼん玉
豊中市 安藤 知明
寒の雨赤色燈の頼もしく
吹田市 堀田 恵美子
喧嘩独楽羽毛枕に眠りけり
吹田市 秋山 寛
◆ つぶやき評 ◆
俳句の作り方として、人を描くというのがあります。まず、人が登場する季語を選ぶこと。例えば農業に関する季語であれば、人は動きます。「種蒔」「畦塗」「畦焼」などなど。人が動くと生き生きとした俳句になってゆきます。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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