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【SDGs】SDGs達成に向け全学で団結する関西大学 地域との連携を密に大阪・関西万博へ

2023.04.13
高橋 智幸/副学長・教授(社会安全学部)
2010年に関西大学社会安全学部に着任。2020年10月より副学長に就任。
前学長、前副学長から引き継いだ「SDGs推進プロジェクト」の取り組みを加速度的に発展させている。

SDGsの目標達成に向けて世界で取り組みが進む中、関西大学は全学を横断するプロジェクトのもと、教育研究とSDGsの結びつきを強固にしている。副学長としてプロジェクトの推進に携わる、社会安全学部の高橋智幸教授に話を聞いた。

全学が一致団結し、SDGs達成へ

2015年の国連サミットでSDGsが掲げられる前から、関西大学では環境問題への取り組みを続けてきた。「SDGsが世界的な目標となったのをきっかけに、これまでの活動を見直し、さらに高い目標を設定しました」と語る高橋教授。そうして生まれたのが、2018年発足の「KANDAI for SDGs推進プロジェクト」だ。学長を頂点に据え、大学、大学院、研究施設、併設校など全学横断の協力体制を作り、スピーディな取り組みへとつなげている。

大学の授業では、基礎知識を学ぶ「SDGs入門」や、企業や自治体から実例を学ぶ「SDGsの実践」を共通教養科目として開講している。一昨年の「SDGs入門」受講者は1000名を超えるほどの人気だった。また、その他にも法政大学と連携して行うコンテストや「SDGsラーニングプログラム」など多種多様な学習環境が用意されている。それらが活用されている背景には、同大学が掲げる「考動力」が強く関与していると高橋教授はいう。

 

地域や企業との連携も密に

SDGsの目標達成には、地域社会や企業との連携も欠かせない。ただ、高橋教授によると「各学部の研究分野が細分化されていて、どの研究が企業の課題とつながるのかわかりにくい」問題があったという。そこで、大学の研究成果を一冊の事例集にまとめ、一つ一つの研究がSDGsのどの目標に該当するのか明示した。この工夫のおかげで、企業は「自分たちの達成したいSDGsの目標がどの研究と関わるのか」理解しやすくなった。現在、動き出している取り組みとして、サンゴ礁の再生プロジェクトがある。化学生命工学部の上田教授は、専門分野の再生医療技術を用いて、サンゴの高効率増殖法を企業と共同で研究・開発を進めているという。

また、企業や団体との連携を盛んにするため、独自のパートナー制度も開始した。全国的な大企業をはじめ、地元企業や自治体など、55団体が加盟している(今年2月時点)。この制度はパートナー同士の連携を深めることも重視しており、定期的に開催される交流会では、登録パートナーや学生たちがSDGsに関するワークショップなどを通じて活発に意見を交わしているという。

人工関節を体に馴染ませる研究をしていた上田教授は、人骨と構造の似たサンゴの骨格に着目し土台とサンゴの幼生の増殖をサポートする研究を進めている。
左)チタン  右)ステンレス
人工関節にも使用するチタンの方が殖植力が強い。

万博で目標達成に向け加速

2025年には、大阪・関西万博が控えている。万博の目標にも「SDGs達成への貢献」が盛り込まれ、取り組みを加速させる絶好の機会となる。関西大学も大阪ヘルスケアパビリオンでの出展が決まっており、現在「リボーンチャレンジ」と銘打った企画で、企業との共同出展を模索している最中だ。

「地域の企業たちと一緒にコンテンツを作りたいと考えています。今回の展示だけでなく、今後の共同研究につながるかもしれません。ぜひ気軽に手を挙げてください」と呼びかける高橋教授。同氏は、万博を「一つの夢であり、明るい未来を示すもの」とも語った。その先のSDGs達成も見すえ、全学を挙げた取り組みを加速させている。

関西大学 リボーンチャレンジ 参加企業募集中
2025年大阪・関西万博における大阪ヘルスケアパビリオン「展示・出展ゾーン」に関西大学と共同で参加可能な企業を募集している。募集期限は5月31日(水)まで。詳しくは特設ページを確認。

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