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6組のスピーカーが独創的なアイディアを発信 TEDxKobeのプレゼンイベント“EX”開催@甲南大学

2019.10.29

Photo by TEDxKobe / CC BY-NC-ND

9/23(月・祝)、TEDxKobe(テデックスコウベ)が主催するプレゼンテーションイベント“が甲南大学iCommons(神戸市東灘区)で行われた。

TEDとは学術・エンターテインメント・デザインなど、幅広い分野の専門家がその優れたアイディアを広める講演会で、米国の非営利団体が主催している。また、スピーチ動画はYouTubeなどで無料で観ることができ、企業研修や英会話教材として使われることもあるため、ご存知の方も多いのではないだろうか。

TEDxKobeは、そのTEDからライセンスを受けて2013年から神戸で活動している、いわばローカル版TED。神戸発信で新しいアイディアを拡散している。運営スタッフは全てボランティア。それぞれ本業を持ち、年齢、性別、国籍に関わらず集まったメンバーは様々な価値観を持つ。アイディアの選考や企画は20~30名のコアスタッフで行うが、イベント開催には当日のスタッフを含めると100名以上のボランティアが関わる。6年目を迎えた今年は、6組のスピーカーが独自のアイディアを発表し、事前申込みをした300名を超える参加者が会場を埋めた。

Photo by TEDxKobe / CC BY-NC-ND

自らの肩書を「勉強家」とする兼松佳宏氏は、様々な職種を経て感じた、自分の中にあるゆるぎないものについて考える。「何をするか(do)」よりも「どのようにありたいか(be)」に注目し自分は何者なのかを突き詰めるという概念を、笑いを交えながらわかりやすい言葉で語り、参加者を引き込んだ。

Photo by TEDxKobe / CC BY-NC-ND

また、小児科医として重篤な病を患う子ども達と関わってきた砂川玄志郎氏は、「ヒトの冬眠」で医療が変わる可能性を見出し、研究を進めている。Demandが小さければSupplyも少なくてよいという、一見突拍子もなく思えるアイディアを専門家の立場からわかりやすく語った。彼は英語でのスピーチを行った。翻訳機の貸し出しや同時通訳字幕があるので、外国語でのスピーチや外国人参加者への母国語通訳にも配慮がある。

Photo by TEDxKobe / CC BY-NC-ND

「1日1発明」を目指すという発明家の高橋鴻介氏は、目の見える人にも読める点字“Braille Neue(ブレイルノイエ)”を紹介。見える人も読める=文字のアップデートであると思い立って開発したこの文字は、日本のみならず海外でも展開されている。普段の着想のコツやそこから生まれた楽しい発明についても語り、多くの参加者がスタンディングオベーションで称賛した。

Photo by TEDxKobe / CC BY-NC-ND

岡崎信彦氏は手話エンターテイメント発信団oioi「(オイオイ)の主宰者。もっと手話を広めたい、聞こえる人と聞こえない人双方がもっと歩み寄れる社会をと、コミカルで解りやすい手話パフォーマンスで参加者を引き付けた。

イベントではスピーカーのアイディアには決して順位や優劣はつけない。プレゼンの時間以外にブレイクタイムが用意され、参加者とスピーカー、また参加者同士で交流を深めたり意見を交わすことができる。今年は初の試みとして、プレゼン終了後に場所を岡本の街に移し、6ヵ所の店舗やオープンスペースで食事やドリンク、音楽を楽しみながらの“EX Session”も開催された。

Photo by TEDxKobe / CC BY-NC-ND

過去のTEDxKobeスピーカー(STARS)も参加し、アイディアについてのアフタートークや対談、フリートークがより楽しめる場となった。スピーチを聞くだけなら動画でも観ることができる。だが、わざわざ参加費を払って会場に足を運ぶ価値はここにある。

代表の舟橋さんは、「神戸は個人や会社が行う興味深い活動がたくさんあるが、各々が小さな村のようで、つながっていない気がした。TEDxKobeの活動目的は利益の追求ではない。ココから発信するアイディアをきっかけに、“つながれる”場となれば」と語った。

過去のアィディアや活動詳細は以下のサイトで紹介されている。
https://tedxKobe.com/

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