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-高槻- 将棋の腕を磨くため、家族で高槻市に移住を決断 8月の全国大会優勝の中学生棋士が、プロに挑む

2023.10.05
取材協力:関西大学中等部

 

2023年8月、山形県天童市で全国中学生選抜将棋選手権大会が開催された。この大会で見事優勝を果たしたのは、関西大学中等部2年生の清水慎(まこと)さん。宮崎県出身の慎さんは将棋の腕を磨くために、なんと昨年3月に家族で高槻へと移り住んできたという。将棋のまち・高槻でプロを目指すことを決断した、慎さんや家族の思いを聞いた。

家族と歩んだ将棋の原点

慎さんが将棋を始めたきっかけは、彼が3歳のころにさかのぼる。父の影響で、将棋のテレビ番組を一緒に見るようになったのが原点だったという。テレビを見ながら駒の動かし方を学び、小学校に進む頃には地元宮崎県の将棋教室へと通いはじめた。

同年代はもちろん、時には年長者とも対局を重ねていった慎さん。母は、「最初は週1回から始めて、だんだん通う回数が増えていき、多いときは週6日も通っていました。教室まで迎えに行っても『あともう少しだけ』と、なかなか指すのをやめませんでした」と当時を振り返る。

小学4年生になった頃、慎さんは日本将棋連盟の育成機関である「九州研修会」へ入会。福岡で開かれる月2回の例会に参加するために両親が片道4時間かけて車で送り迎えを続けるなど、家族からの手厚いサポートを受けながら、慎さんはさらに高いレベルで腕を磨いていった。

高みを目指し、将棋のまちへと移住

そして昨年、清水さん一家は宮崎を離れて、高槻へと移り住むことに決めた。父の転職をともなうなど、家族にとって大きな決断へと踏み切った背景には、より強い棋士が集まる環境で腕を磨いてほしいという両親の思いがあった。

「親の目から見て、地元の環境に留まり続けるのは刺激が足りないのでは、と感じるようになりました。また、段位やプロ棋士の年齢制限(※)、この先に控える高校・大学の受験も考えると、将棋と学業の並行が難しくなると考えたんです」。家族で話し合った末、慎さんは高槻市にある関西大学中等部へと進学。新たな拠点として高槻を選んだのは、関西将棋会館(現:大阪市福島区)が数年後に移転してくるのを見越しての決断だったという。

「決して九州の人たちが弱いわけではありませんが、大阪の人たちは想像以上に強かったです」と率直な印象を語る慎さん。現在は、近隣の将棋道場に通ったり、オンライン指導を受けたりしながら、新天地で将棋に打ち込む日々を送っている。前述した中学生年代の全国大会で優勝を飾っただけでなく、超難関といわれるプロ棋士の養成機関「奨励会」の入会試験を見事に突破。より将棋に専念できる環境で己を磨き続けている慎さんは、険しい道のりを越えた者だけがたどり着けるプロの世界を目指し、今日も腕を磨き続けている。

※「満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となる。」(引用:奨励会規定(公益財団法人 日本将棋連盟)

プロの世界に向け、いざ前進

実は全国大会の優勝を果たすまで、慎さんがプロを目指して将棋に取り組んでいることは、同級生の間でもあまり知られていなかったそう。「特に周囲に自慢したいとは考えていません。それよりも、気軽に話してもらった方がうれしいです」と、普段の学校生活を語るときは年齢相応の姿を見せる慎さん。ただ、将棋の話題を語る際の眼差しは真剣そのもの。「僕は理詰めの将棋というより、気持ちで戦うタイプだと思います。不利な局面になっても諦めない心を持って、一戦一戦後悔のない将棋を指したいと思います」と、9月から始まる奨励会のリーグ戦を見すえて抱負を語った。

全国中学生選抜将棋選手権大会 決勝戦の様子(右側が清水くん)

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