茨木出身の書道家・青柳美扇さんが元気を届ける書と言葉の一冊 『毎日、ポジティブ。』を出版
2023.11.06
Eテレ「にほんごであそぼ」で活躍の書道家・青柳美扇さん。実は北摂・茨木の出身で、梅花女子大学の日本文化学科で書道芸術を専攻していた。9月30日に発売となった書籍への想いと、大学生活の思い出をうかがった。
和文化に精通した祖母の影響と
梅花女子大学での学びで書の道へ
お祖母様が和裁の先生で、お茶や書をたしなむ『和』の文化に囲まれて育った青柳さん。「私はおばあちゃんが大好きだったので、よく和室で一緒に遊んでいました。4歳の時にお習字の教室に通い出して、大会で賞を取ったときにおばあちゃんや両親に褒めてもらえたのがとてもうれしくて。そこからお習字に熱中して、小さな自信家になっていきました」と青柳さん。
そんなお習字から書道へと進むきっかけになったのは高校時代の恩師のひと言だったという。「高校生の時も好きな書道は続けていて、書を見た先生から、書道芸術が学べる梅花女子大学への進学を勧められました。まさか大学で書道を学べると思っていなかったので、このご縁が無かったら、別の仕事に就いていたかもしれませんね」。
書道パフォーマンスに出会い、
JFAサッカー天皇杯の題字も担当
大学進学後は、青柳さんの元気さが買われ教授から書道部の立て直しを依頼される。「まずは部員2人からスタートして私が部長に。書道はついつい内にこもりがちになるので、対外的に活動をして部の存在を知ってもらおうと考えました」。そこで青柳さんが思いついたのが、広島県三次市にある、ジミー・カーターシビックセンターでの書道パフォーマンス大会に出場すること。「大学のみんなに声をかけて15人集めて、1ヵ月間スクールバスの最終便まで、みっちり練習しました。部員のみんなからはあまりの熱血ぶりに、(松岡)修造さんと呼ばれるほどでした(笑)」。
大会では縦3m×横6mの大きな紙に複数人で書いていくため、書体が変わらないように留意したり、6分という限られた時間内で完成させた達成感は忘れられないものに。この経験が青柳さんがこの道に進むきっかけになった。
そして梅花女子の大学院卒業後、2017年から書道家として歩みはじめ、2020年1月1日には、国立競技場のこけら落としとして開催された「JFA第99回天皇杯決勝」の試合前に、ピッチで「神戸」「鹿島」の書道パフォーマンスを行い、会場を湧かせた。
前を向かせてくれる言葉と
心を落ち着かせてくれるメッセージ
そして、9月30日に心が元気になる50の言葉を自らの書とメッセージで綴った『毎日、ポジティブ。』を上梓。「書にはパワーがあり、言葉には言霊があります。この50の言葉は、私を作っている大切なもの。ひと言ずつ想いを込めて書きました」と青柳さん。
見開きの右頁には青柳さんの書で言葉が書かれ、左頁にその言葉に対するメッセージが記されている。たとえば『正直』はまっすぐな直線で書かれ、『大丈夫』は力強さを感じる書になっている。「いろんなことがある日々の中で、この一冊が皆さんの心に元気を届けられたら、うれしいですね」。
著者:青柳美扇(あおやぎ・びせん)
定価:1,650円
発行:ぴあ株式会社
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