俳句コーナーVOL.51 入選作品を紹介!
2023.12.01
10月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
ひと廻りしてうなづきぬ萩の寺
高槻市 黒田 豊子
眼目は「うなづきぬ」。この一言で萩の寺の様子がありありと迫ってきます。そして、もう一つ。作者の納得感も。期待通りの萩の寺だったということも伝わってきます。言葉は短いですが、多くのことを包み込んでいます。
【 入 選 】
ゆびきりの指のぬくもり冬隣
高槻市 葉月庵 郁斗
冬が隣りに来ています。寒さを感じる中での指切。母と子の笑顔が見えます。
秋晴や土竜のごとく吾のをり
吹田市 田村 由紀子
土竜のように動かない作者。秋晴の中での静かな佇まいを感じます。
亀虫や夜空に風の残りたる
豊中市 山上 秋葵
亀虫と聞くとびくっと。それでも夜空に残る風に少し救われているようです。
凸凹の蜻蛉の翅が透き通る
大津市 近江 菫花
翅が透き通っているのはよく見ること。そこに凸凹を見つけたのが手柄です。
コスモスの気持で風と戯れて
豊中市 小倉 佳子
コスモスの気持ちになれることの、幸せがストレートに伝わってきます。
【 佳 作 】
戦場も照らしているか十三夜
豊中市 常陰 智子
どんぐりよこんな日には水あびか
茨木市 親里 礼
図書館の中庭まるし小鳥来る
和泉市 押見げばげば
鳩吹くや口いっぱいに膨らませ
高槻市 黒田 豊子
色重ね音も重ねている落葉
高槻市 佐竹 美和子
◆ つぶやき評 ◆
俳句はもので語らしてください。難しい言葉や表現は必要ないです。ものを見て、素直に普段使っている言葉で伝えてください。そうすれば、季語が生き生きと働いてくれます。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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