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池田、箕面で本に出合える「本めぐり散策」

2019.11.12

近年、町の書店や大型書店の閉店が相次ぎ、デジタル化の波に押されている本の存在だが、一方ではオーナーの個性をいかした個人書店が、ちょっとしたムーヴメントになっている。大阪、神戸ではすでに多くの書店が存在しているが、北摂エリアにもその波がきているようだ。阪急宝塚線、箕面線で周る、個性的な書店に出合える場所を紹介する。

【まがり書房】

阪急池田駅から 5分ほどの住宅街の中にある「まがり書房」(池田市栄町8-1)。本好きの店主が「近くに面白い本屋がない。ないなら自分で作ろう」との思いで 2017 年に開店した。コンセプトは「わくわくできる店」。古書、新刊の両方をあつかっており、古書については 買い取りもおこなっている。また、一般的な本の流通ルートにのりにくいリトルプレス(小出版)も積極的にラインナップを増やしている。ユニークなのが、店頭の黒板に毎日登場する俳句だ。毎日丁寧に手書きされる、ゆるい心の呟き的な俳句を来店時の楽しみにする人も多いそう。

【Karite(カリテ)】

池田駅から徒歩15分ほどの絵本、児童書専門店「Karite」(池田市城南3-6-1-102)。子育て中の夫妻が、子連れでも来店しやすい、絵本をゆっくり選べる店を作りたいと今年2月にオープンした。店内には絵本と一緒に飾りたくなる可愛い雑貨も並んでいる。最近は大人にも絵本が人気ということで、子連れと大人だけの客層は半々くらいだそう。店の奥は、カフェスペースもあり、靴を脱いでゆっくり過ごすことができる。お店全体がほっこりとしたムードに包まれていて、絵本の中に登場しそうな、可愛い絵本屋さんだ。音楽教室や個別学習教室も運営しており、夜には絵本に囲まれた学習スペースになる。

【ひなたブック】

阪急箕面駅から箕面の滝へつながる滝道沿いで土、日、祝日のみ営業の「ひなたブック」(箕面市箕面1-5-4)。レトロな風情の建物の2階に上がるとカラフルな本がぎっしりと並ぶ、絵本と児童書専門の古書店だ。1階では「はるの文庫」と「トラベリングブックストア」という、選書にセンスが光る2店が間借りで出店しており、様々なジャンルの本を購入することができる。「コーヒーやビールを飲みながらゆっくりしてもらいたい」という店主の思いから店内にはカフェ&バーが併設されている。カフェエリア窓辺の特等席で箕面の自然を感じながら、じっくり本を選ぶことができる。また週に一回、「アンブル」のオリジナルカレーが登場する。その時の食材からのひらめきで作られる週替わりカレーは、オリジナリティーにあふれ大人気だ。古書店とカレー、そして箕面の自然、それぞれの個性が合わさり、どこにもない独自の魅力ある空間となっている。箕面の滝の散策と合わせて、ゆったりと休日を過ごせそうな一軒だ。

【Library Think(ライブラリー シンク)】

阪急桜井駅から徒歩7分、昭和の風情を残す桜井市場の中にある「Library Think」(箕面市桜井2-10-5)は個人図書館というユニークな場所だ。元は本屋だったというオーナーが隠居後の書斎的な場所が欲しいという思いからスタートし、どうせならみんなと本を共有したいと思うようになり、図書館というスペースになった。オーナーの蔵書や寄贈された本が壁一面に並ぶ。片面の壁は、個人から借りてきた本が並ぶ。本好きなら気になる「ひとの家の本棚」の一部が切り取られて並んでいるようで、眺めていて面白い。利用者は200円のカンパを払い、サービスのドリンクを飲みながら、本を読むことができる。近隣の古書店による古本の販売スペースもあり、本を買うことも可能だ。若者に場を提供したいとイベントが開催されることもある。「来た人は、ここはどうところなのかな?と不思議そうな顔をします」ということだが、本好きには実に興味深い空間だろう。

どのスポットも個性的で本への愛があふれている。池田、箕面の本めぐり散策で、読書の秋にぴったりな一冊が見つかるかもしれない。

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