-豊中市- 庄内さくら学園の6年生が取り組んだ キッチンカー事業者との起業体験学習
2024.01.02
庄内さくら学園前のあいさつロードで販売が行われ、子ども達の
元気な呼び込みに誘われてたくさんの人で賑わい、見事に完売した。
2023年4月に開校した施設一体型義務教育学校の豊中市立庄内さくら学園。子ども達に社会参画する楽しさを知ってもらうため、初めて実践した本格的な起業体験について、豊中市教育委員会事務局の溪口さんに話を聞いた。
豊中市教育委員会事務局・学校教育課の溪口さん。教育現場に長くいた経験から、教育を知り尽くしている。
子ども達には早い段階からキャリア教育に触れてほしい
“地域と共にある学校”をめざしている庄内さくら学園。キャリア教育を通して、自分たちが社会に対してできることは何か、起業が単なる商売ではなく、地域の人とどのように交流することで仕事が成立するのかを子ども達に考えてもらう機会として、今回の起業体験学習が行われた。「なぜ“起業”なのかというと、今ある仕事だけでなく、仕事は新たに創っていくこともできるのだと知れば、子ども達が自分の夢を諦めず実現する可能性を広げられるからです」と溪口さん。
社会性を身につけるためにいろんな大人と出会う大切さ
体験学習の第一部ではいろんな職種の起業家の話を聞き、どんな仕事があってどんな働き方をしているのか、どんな風に周りの人と繋がっているのかを学んだ。
今回の第二部はキッチンカー事業者から具体的な仕事内容を教えてもらい、自分達でメニューを考えて提案した。「材料の原価計算や人件費などの値段の仕組みを教わりながら、内容と値段を決めないといけません。事業者からのフィードバックを重ねる中で、全部のアイデアが通らず悔しがる子もいました。でも仕事とは自分がしたい事をするだけでなく、相手が求める事に応えていかねばならない事を教えてもらったんです」と溪口さん。そしてメニューが決まると、地域のデザイナーからアドバイスを受けてチラシ作りへ。チラシでの宣伝活動は、完売を目標とする子ども達のモチベーションを高めた。
「子ども達は町中にチラシを配布して回ったのが一番楽しかったようです。チラシを褒めてもらったり、いつやるの?と興味を持ってもらえたり、そうやってまちの人の温かさに出会うという体験も貴重でした」と溪口さん。販売当日もそれぞれが大きい声を出して呼び込みをし、どうすれば足を止めてもらえるかアイデアを出しあって工夫していた。販売の手伝いでは購入客の表情が見えるため、手応えを実感でき、現場の空気に触れられるのは体験学習ならでは。自分達の考えた事が形になるというやり甲斐も感じていたそうだ。
起業体験を通じてわかった自分の得意なことが未来に繋がる
座学では事業の一部を切り取ってでしか学べないが、起業体験では全体図が見える。その中で自分が社会のどこにはまっていけるか、何が得意なのかを気づいてもらえたら、と溪口さんは話す。「最初の勤め先で夢が叶わなくても諦める必要はありません。就職すれば終わりなのではなく、人との出会いを重ねながら自分のやりたい事に繋いでステップを踏んでいく。自分が何を大事にしていくかの価値観を築いていくんです。子ども達にはそういう力をつけてほしい」。起業体験第三部では、事業者が寄付をした売り上げの一部を、学校や地域にどうやって還元するかを考える。起業の先まで経験できるこれらの体験は子どもの人生を豊かにするだろう。
キッチンカー事業者の話を聞く子ども達
子ども達が制作したそれぞれのメニューのチラシは、ポスターサイズに拡大して展示会のように貼られていた。
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