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– 吹田市 - “北摂の美味しい”が集まる吹田・アサヒキッチンプロジェクト

2024.02.03

アサヒキッチンプロジェクトJR吹田駅前・新旭町通り商店街でスタート

吹田市の玄関口の一つ、JR吹田駅周辺が生まれ変わろうとしている。“北摂の美味しい食材と飲食店が集まる場所”を目指す「吹田・アサヒキッチンプロジェクト」が始動し、まずは「新旭町通り商店街」をリニューアルする。プロジェクトを進めるスキタ会(吹田まちづくり合同会社)の濱野良平さん、生田謙一郎さん、まちづくりプロデューサーの古田大泉さんに話を聞いた。

左から生田さん、古田さん、濱野さん。

地元の商店街を元気に

今から65年前、JR吹田駅の南に誕生した「新旭町通り商店街」。その中には、生鮮食品を扱う店が並ぶ「新旭町通食品街」など、昭和の市場の雰囲気を残す場所があり、今でも多くの地元客に愛されている。しかし、同商店街も“シャッター商店街”の例に漏れず、閉まったままの店舗が目立つようになった。

「ここで商売もさせてもらっていますから、なんとか元気にしたいと思いました」と話すのは、商店街に店舗を持つ生田さん。2013年から地元の有志が集まり、毎年、食材や飲食をテーマとしたイベントを実施していた。その経験を生かし、今回、経済産業省の事業企画支援を受け、本格的に「吹田・アサヒキッチンプロジェクト」をスタートさせた。

出店しやすい環境づくり

生鮮食材とバラエティ豊かな飲食店が並ぶ同商店街の特色を活かし、新たなコンセプトも“食”となった。「新旭町通食品街」を含むアーケード約110mの区画を「吹田・アサヒキッチン」と名付け、現在も営業をしている店舗と一緒に「昼は食品街、夜は飲食店」の二つの顔を展開していく。課題となるのは、空き店舗に新しい事業者を誘致することだった。

「シャッター商店街がなくならない理由の一つは、物件と事業者を結ぶ人がいないということです」と話す古田さんは、城崎温泉や神戸湊川市場など、商業地・観光地の再生に実績を持つ。「全国的に言えることですが、シャッター商店街の店舗の地主や家主には、別事業等で収入があったり、倉庫にしていたり、店を閉じていても困らない人が少なくありません。他には、そもそも持ち主が不明のままの物件もあります。こうした交渉や調査を考えると、商店街に出店するハードルが高くなり、出店側にとって商店街が候補に上がりにくいのが現状です」。

まず、スキタ会が取り掛かったのは、自分たちが空き店舗所有者と出店希望者双方の支援者となることだった。空き店舗の借り上げを行い、飲食店出店に必要なインフラ(ガス・給排水・換気等)を整備した。「スキタ会には建築工事業や不動産業などのメンバーがいて、それぞれの経験や人脈を活かすことができました」と濱野さん。スタートアップ支援や地元商店街と連携した仕入れの紹介も含め、事業者が出店しやすい環境を作ることに力を注いだ。

商店街の新たなカタチ

現在は、既存店に加え、フェアトレードエシカルショップ「Kibi」、芋スイーツ専門店「ポテ太郎」、まぜそば専門店「人類みなまぜそば」の3店舗が先行オープンしており、残り7区画で出店者を募集している。飲食店・食品加工販売(テイクアウト店など)であることが出店の対象業種だが、同プロジェクトの趣旨やコンセプトに共感できるかどうかもポイントとなる。「今はプレスリリースやSNSなどで情報を発信しつつ、出店希望者との面談や現地の案内を進めています」(濱野さん)とのこと。

5月頃から随時開店していく予定で、3月16日(土)にはプレオープニングイベントも行う。他にも、定期的に商店街内や駅周辺で食品や飲食がテーマのマーケットや商店街参加型バルの開催も予定している。また、店舗情報を掲載した「吹田キッチンMAP」の作成も進めていく。商店街入口には、LEDネオンサインと間接照明看板サインを設置し、アーケード内通路の照明もランタンのような吊り下げ型に変わるという。市場の雰囲気が残る同商店街のレトロな魅力を最大限に活かし、近隣を含めたJR吹田駅前の活性化を図っていく。

現在の「新旭町通食品街」の入口。「アサヒキッチン」のネオンサイン、照明看板が設置される予定。

 

募集区画がわかりやすいようシートを貼ってPR。

 

既存店も商店街に活気が戻ることを楽しみにしているという。画像は三兄鮮魚店。

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