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関わる人全てに愛される味 幸せを届けるバウムクーヘン

2019.12.12

ドイツ発祥のお菓子・バウムクーヘンが日本に上陸して今年で100年目。そんな年に、オープン1年目を迎えたバウムクーヘン専門店「エレファントリング」が人気を集めている。

上質な北海道産小麦粉に選び抜いた卵や砂糖、バターを使い、膨張剤などの添加物は使用しない。その代わりに卵白を泡立てたメレンゲが、きめ細やかで口当たりの優しい生地を作り出す。焼き上げには手動のオーブンを使用。回転する芯に専用の道具で生地をつけ、オーブンに入れ、窓から焼き色を見極めては取り出して生地をつけるという作業を繰り返し、美しい層を作る。その数20回以上、時間にして約1時間。250度以上のオーブンの目の前で熱気を浴びながら、片時も目が離せない。「膨張剤を使えば、自動で放っておいてもきれいに焼けますが、この生地の場合は、気を抜くとシミのような色がついてしまいます」と話すのは職人の池田勇二さん。手間がかかるため、朝5時から作り始め、師匠と2人で焼き続けても1日で作れる数は9本が限度だ。

レシピは高齢になる師匠の秘伝。かつて師匠は別の場所でバウムクーヘン店を営んでいたが、後継者もおらず閉店間際だった時に、以前から取引があった食料品のバイヤー代行業務などを行う会社「スマイルサークル」社長に相談をした。「こんなにおいしいレシピがなくなるのは惜しい」と、同社が運営を引き受けて継続させることを提案し、池田さんが弟子入り。幸象の鼻が描く幸せのシンボル「エレファントリング」を店名にし、昨年10月、移転オープン。オープン前後は、厨房の場所が変わったことにより、気温や湿度、気圧の変化の影響で味も微妙に変化し、調整するのに苦労した。今は安定しているが「天気などによって生地の状態が変わるので、毎日、焼き方を変えています」と池田さん。

試食用に切り分ける販売員も、色や食感の変化に気づくと池田さんたちに報告するのだとか。「従業員は全員、うちの商品が一番おいしいと思っています。この味を1人でも多くの人に届けたいですね」とブランドマネージャー・西尾亜衣さんは話す。関わる人全てに愛されるバウムクーヘンからは、幸せの香りが漂う。

【商品】
バウムクーヘン(直径約13cm)
Sサイズ(高さ3cm)2,160円・Mサイズ(同6cm)3,780円

エレファントリング

住所
芦屋市大桝町4-20-1 ASHIYA CENTRAL BUILDING 1F

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