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-茨木市- 追手門学院高校の高校生がボードゲームで起業を目指す

2024.05.03
取材に応じた追手門学院高等学校創造コースの(左から)牛込紘太先生、
中村颯希さん、古川元晴さん、山崎凛さん、高木草太先生

 

追手門学院高等学校「創造コース」の高校生チームが教育系ボードゲームを企画、商品化にむけてプロジェクトを進めている。

探究型の学びを主軸にした新コースがスタート

茨木市の追手門学院高等学校では、2022年に探究型の学びを通じて、創造力・思考力・コミュニケーション力などを育成する「創造コース」を創設した。同コースでは、毎週設定されている「LHR(プロジェクト実践のための準備)」の授業で、各教科で学習した知識を実際に応用する力を身に付けるほか、学期ごとに学生たちがさまざまなプロジェクトを実践する場を設けている。追手門学院高等学校の辻本義広教頭は、「画一的な教育から、個々を見守る教育へ転換したい、という想いから始まったコース。苦行化された学びから子どもたちを開放して、新たな評価軸をつくりたい」と創設の経緯を語る。

「創造コース」では、2年次に、従来の修学旅行に変わる探究型の学習を取り入れた「探究旅行」を実施。4泊5日で訪問し、地元の人びとから直接課題を聞き取り、高校生の目線で解決策を立案、現地で発表する取り組みを行っている。

2023年には一期生の学生たちが高知県を訪れ、地域の住民や自治体と交流を図りながら、「高知の魅力を発信」をテーマに、チームで課題に取り組んだ。この旅行で発足した8つのプロジェクトチームの内、3チームがその後も課外でプロジェクトを継続している。

「自己理解」をテーマにしたボードゲームを開発

高知の魅力を再確認するボードゲームを提案した3名の学生チームは、現在、教育系ボードゲーム「語れるすごろく」の開発と商品化を目指し、プロジェクトを進める。このゲームは、複数人で遊びながら対話することにより、プレーヤーが自己理解度を深めていくもの。盤面には、「Talkマス」や「Eventマス」などのマスが用意され、これらのマスに止まった人はカードを引き、カードに書かれたお題に沿って、他の参加者と対話する。「対話を通じて価値観を比較し、自分を知る」ことがゲームのねらいで、学校授業の補助教材として使われることを想定している。

写真3名の学生チーム「わたがし」で開発したコミュニティーツール「語れるすごろく」の商品化を計画中。

教育関連のイベントで試作版を体験した教員からは、「自己理解」は教育の1つのキーワード。ゲームを使って、他の参加者と楽しみながら理解を深められる」などの声が聞かれた。また、大阪市天王寺区の大阪夕陽丘学園高等学校の生徒、教員にもテストプレイを行い、今後、実際の授業にも試験的に導入される予定だ。

チームのメンバーで代表の古川元晴さん(高3)は、「近い内に起業して、高校在学中にいろいろな学校や先生にアプローチを続け、ゲームを広めていきたい」と話す。

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