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-豊中市- 千里中央駅 再開発の行方は 一体どうなっているのか?

2024.05.10
歌手の登竜門的な場所であった「セルシー広場」。

2024年3月23日、北大阪急行「箕面船場阪大前駅」「箕面萱野駅」が開業したことにより、箕面市は、駅前の整備や周辺の利便性向上による利用者の増加、商業施設の売上増加など、延伸に伴う年間の経済波及効果は614億円を見込むと公表。この延伸事業は箕面市および市民に大きな影響を与えている。一方で、現在にぎわいの中心起点(商業地域エリア)である千里中央駅周辺で暮らし続けていた住民からは、中心起点がそれらの地域へと移り変わってしまうのではないかという不安の声があがっている。

せんちゅうの現状

2014年、千里中央地区において、地区が担うべき役割や機能など、今後のまちづくりのあり方を示した「千里中央地区活性化ビジョン」が策定された。これをもとに2016年には、地区内に土地または建物を保有する官民の関係者が参画する「千里中央地区活性化協議会」ができ、2019年「千里中央地区活性化基本計画」が策定されている。

当初、北大阪急行の延伸や大阪・関西万博の開催に合わせて「千里中央地区 東町中央ゾーン(千里阪急百貨店、セルシー、ピーコックストア、第一立体駐車場)再整備事業」のスケジュールが組まれ、2023年度中の土地区画整理事業(道路、公園、河川等の公共施設を整備・改善し、土地の区画を整え宅地の利用の増進を図る事業)の認可を目指していた。しかし、コロナ禍の影響を受けた消費者の購入行動の変化、建設費や資材の高騰、ゼネコンの人出不足が事業推進に大きく影響し、2023年度中の事業認可は見送りとなった。現在も、早期の事業着手へ向けて、協議・調整中となっている。

ウォーカブル あらゆる人にとって便利で、居心地よく、歩いて楽しいまちへ

そんな中、豊中市都市計画推進部都市整備課は、千里中央地区活性化ビジョンの実現に向けて、この地区にかかわる市民の意見交換や、声を取りまとめる「これから千里」や、企業がどのように連携していくか協議する「せんりまなぶくらす」といったワークショップを開催。そこでは、今後再整備が進んでいく「千里中央駅周辺エリア」と「公園エリア」、さらにこれらの整備によって影響を受ける周辺の「住宅エリア」ごとに現在の地域の魅力と課題、未来へ向けたアイデアの共有がされ、アイデアや課題を取りまとめた千里アクティビティガイド「これ、せん?」が作成された。

千里中央駅周辺エリアは、地域の人や来訪者の交流でつながりが生まれる場であり、暮らしの利便性や安心を支える商業の場でもあることを目指した今後の目標や、取組アイデアがあげられている。その中の一つには、現状、歩行者の動線が悪く歩きにくい場所があることから、高齢者の外出意欲が削がれるといった課題が取り上げられている。この課題を解決するため、時速20km未満の電気自動車グリーンスローモビリティ(愛称モビとよ)の活用が昨年10月から実施され、その走行ルートはワークショップの意見をもとに決定された。移動支援による外出意欲の促進や、地域住民のボランティアによる運転で、地域コミュニティの形成にもなっている。

市民ワークショップ「これから千里」の様子。老若男女幅広い年齢層の市民が参加。

 

豊中市 都市計画推進部 都市整備課北部整備係 主事 山本 竜士 さん

 

モビとよでの取組からも分かるように、市は地域の声をもとに、アイデアを出し合いながら課題解決を目指すことを大切にしている。千里中央地区のまちづくり推進全体においても同様で、この地区にかかわる住民・企業・行政が主体的に取り組むエリアマネジメントを重要視し「これ、せん?」の実現に向けて、あらゆる人にとって便利で、居心地よく、歩いて楽しいウォーカブルなまちづくりを続けていくという。1962年のまちびらきから60年が過ぎた千里ニュータウン。これまで地域で暮らし続けてきた住民に加え、再び若い世代の生活の場にもなっている千里中央の今後の行方に期待したい。

時速20km未満の電気自動車グリーンスローモビリティ(愛称モビとよ)。

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