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シティライフアーカイブズ【北摂の歴史記録】第29回創立41年目の市民劇団「五月」

2020.04.27

-アマチュア界のプロ集団-
現在、そして未来にもつながる過去の情報を取材、編集し、記録する特集です。
北摂の歴史から、私たちの住むまちの魅力を学び知る機会になればと思います。
第29回は「吹田の市民劇団、五月」について紹介します。

歴史案内人
取材協力
元毎日新聞編集局長で関西大学文学部非常勤講師の深井麗雄さんと、その講義を受けた文学部2年次生、奥代恭平さんが劇団五月に取材しました。

芝居好きの市民がボランティアで
代表の廣岡真由美さんや小川尊子さんによると、創設したのは芝居が好きだった内装業の故、荒山誠さん(当時32歳、小川さんの夫)で劇団名は「5月に出来たから五月」という。1 9 7 7 年11月に老人ホームで公演をして以来、演劇でボランテイア活動を続けている。主な訪問先は老人ホームや乳児院など。和泉市の乳児院に毎年末に訪問してもう30年を超えるという。

それぞれの観客に合わせ、時代劇や民話劇、童話劇といった幅広いジャンルで創り上げる。ほとんどの台本は広岡さんたちの創作だ。団員は最盛期には32人いたが今も6人で頑張っている。自営業や主婦、看護師、会社員など様ざまな職業の人たちで、唯一の共通項は「芝居好き」。

稽古場で団員と「まんじゅうこわい」の稽古をする廣岡さん(中央)

故、荒山団長の優しい目が印象的だ(右)

阪神淡路大震災でも活躍
今でこそボランティアというフレーズが社会に浸透しているが、40年前の当時、そのような空気はなかった。娯楽に触れる機会の少ない人々へただただ「芝居の面白さを伝えたい」という思いだったという。そのためには自ら足を運び公演しに行く。劇団五月にとってはごくごく、自然な流れであった。

1993年9月の近鉄小劇場での公演「つばくろ物語」

本格的に世間にボランティアが認識されたのは1995年に発生した阪神淡路大震災以降。震災直後、今何ができる?と考えた時に劇団五月は真っ先に公演の準備を始めた。向かったのは避難所となった大阪市住之江区にあるインテックス大阪。街は混乱の渦中であったため、準備も容易では無い。大きな舞台セットを1度に運べるトラックも無く、何度も事務所と避難所を往復したそうだ。それほど、この時も芝居を届けたいという想いが強かった。

1990年代の活動風景

5円玉のご縁
劇団五月の芝居は創設当時から〝手作り〞を心掛けている。その背景には人と人との結び付き、団員一人一人の感性を重視し、人に愛される芝居作りを目指すというポリシーがある。その様子を伺えるのが公演後、観客全員に配っている〝五円玉のキーホルダー〞だ。五円玉を中心に毛糸を編み込み花形に飾ったものだ。もちろんこれも手作り。

1996年7月の大道具制作風景

今から3年程前から始まり、「これからもご縁がありますように」という想いに加え、公演で再訪した際に五円玉のキーホルダーを身につけた観客を見ると、また観に来てくれたと一目で分かるそうだ。観客全員にと言っても相当な数にのぼる。そしてアマチュア劇団がゆえに制作費も材料費も団員自身の負担だ。取材最中に完成した物を拝見すると、非常に凝った作りで一つ一つが異なったデザイン。それは単なるお土産という形式的な〝物〞では無く、演劇をする上で欠かせない存在である観客に対する想い、愛情に溢れた〝作品〞ともいえる。「作り始めたら年々凝ったものになっていって、1つ作るのも大変になってしまったよ」と話してくれた団員たちの優しい表情は実に素敵だ。

目標はYES
40年の歴史を経て、現在4代目団長となった廣岡真由美さんは「社会に出てからの人付き合いは〝上下〞という関わりが大半。だが、五月の良さはその人付き合いに〝仲間〞という意識が強く、居心地の良さがある。その上で同じ目標に向けて一生懸命になれる楽しさがある」と話す。舞台監督としてセットや大道具を手がける夫の雄一さんや、「うちの娘」と団員の女性を紹介する姿を見ていると一つの家族の様にも感じる。

41年目の新たなスタートとなる2018年。今していることをこれから先も続けること。依頼に対しては「Y E S 」で答えること。この2点を目標に掲げているそうだ。

2016年7月、老人ホームでの朗読劇

2003年2月、信太山の老人ホームで「夕鶴」を公演

取材を終えて
どこからの援助もなく、ほとんど自腹で芝居に没頭し、子どもからお年寄りまで幅広い支持を受ける演劇活動が40年を超えるなんて、半端じゃありません。そのことは学生のわたしにもよくわかりました。取材を終え、一切妥協の無い、劇団五月の人に愛される手作り芝居は、まさに”アマチュア界のプロ集団”だと確信しました。

関西大学文学部2年次生、奥代恭平

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