-池田市- 「いけだエリアプラットフォーム」の新しいまちづくり
2024.10.24
池田市の駅前を、歩行者が主役の魅力的な空間へと変えていく。そんな取り組みを進めているのが「いけだエリアプラットフォーム(通称エリプラ)」だ。まちづくりを自分たちの手で実現する取り組みについて聞いた。
多様なプレイヤーが集う、官民一体のまちづくり
阪急池田駅周辺は1986年の高架工事から長い時が経過して、再整備の時期を迎えていた。しかし、改修にあたって市民の目線が欠けてしまうと、活用しにくい空間になりかねない。そこで、暮らしやすく魅力あるまちづくりを目指すプロジェクトが立ち上がり、2021年のエリプラの設立へとつながった。阪急電鉄やダイハツ工業などの大規模事業者、個人商店、市民団体、一般市民、さらに池田市も参加し、官民連携の取り組みを進行中だ。
いけだエリアプラットフォームのコアメンバーの皆さん。
事務局を務める吉岡博充さんは、20年以上にわたり池田のまちづくりに関わってきた。その経験を生かして市の職員と地域を巡り、まちを盛り上げるキーパーソンを見出す役割を担っている。
駅前の魅力づくりに、市民の力を吹き込む
エリプラの取り組みの一つが、駅前の空き倉庫を活用した「SUBACO」の運営だ。団体の活動拠点であるこの場所は、市内のウクレレ演奏チームの練習スタジオでもあり、子ども向けの水遊びイベントを開催する会場でもある。さらに、市民の「こんなことをやってみたい」との意見を汲み取れるように、気軽に足を運びやすいフリースペースとしても開放しており、歩いて楽しめる“Walkable”なまちづくりの拠点となっている。
事務局の上原真理さん
もう一つの目玉が駅前空間の利活用を推進する社会実験イベント「おさんぽマルシェ in IKEDA」の開催だ。イベント当日は駅前エリアにグルメや小物の販売ブースが並ぶほか、周辺の商店街もそれぞれ独自イベントを企画し、駅前のにぎわいを創出している。2022年から現在まで継続するなかで、徐々に地域の事業者や商店街が主体的に企画運営に携わるようになった。「初回からたくさんの人でにぎわう様子を見て、池田駅前のポテンシャルを実感してもらえたことが大きいのでは」と事務局の上原真理さんは分析する。
11月30日と12月1日に開催される第4回マルシェでは、新たな試みとして夜市を実施する予定。また、地元小学生が考えた企画を実現するプロジェクトも進行中だ。子どもたちは自分たちでアイデアを出し、資金集めから準備、当日の運営までの流れを経験する。「地域と繋がりながら主体的に目標を達成する体験を、ぜひ味わってほしい」と、上原さんは期待を寄せる。
人の縁がつなぐ、これまでとこれから
通常のまちづくり事業では、ビジョンの策定から始めることが多い。しかし池田では、市民の「やりたいこと」を先に実践した。
「おさんぽマルシェ in IKEDA」の様子。
その実例が、「おさんぽマルシェ in IKEDA」の開催だ。その結果を踏まえてビジョンの方向性を定め、交流拠点としてのSUBACO設置に至った。初回のマルシェ開催からわずか3年で、多くの市民が参加するイベントに成長できた理由について、事務局の秋澤晴香さんは「関わってくれた人たちのおかげ」と語る。事務局だけでなく、イベント時には各種許認可に奔走する市職員や、地域を盛り上げたい住民たちの存在があってこそ、今のエリプラの姿があるという。
今後のテーマは持続性だ。「世代交代しても継続できる仕組みづくりが必要」だと秋澤さんは語る。市民、事業者、行政が一体となって進める地域活性化の取り組みが、今後どのように池田のまちを変えていくのか要注目だ。
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