俳句コーナーVOL.62 入選作品を紹介!
2024.11.03
9月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
一群のこぼれ萩見て萩を見る
茨木市 山﨑 登代子
「萩を見る」が二度出てきます。ふつう俳句では字数が少ないので、同じ言葉を続けることはしません。この句の場合、こぼれ萩を見た後に萩の花を見たということが大事なってくるので、言葉を重ねました。景がよく見えます。
【 入 選 】
レリーフの影の重なり秋深し
茨木市 暖井 むゆき
季語によって、重なる影がまた違った味わいを伝えてくれます。
茸汁娘が連れて来た人に
茨木市 藤井 晶子
どんな人を連れて来たのか。その人によって茸汁の味がかわりそうです。
木犀のこぼれ花より匂い立つ
高槻市 黒田 豊子
咲いている花よりもこぼれている花の方が匂う。木犀らしいです。
鰻重に武将の名前秋高し
日野市 平井 都々
名前からしてしっかりと焼けた鰻が目に浮かびます。味も武将のように。
入道に鰯かみつく秋の空
茨木市 角島 健二
秋の雲の代表である鰯雲が夏の雲を追い払おうとしているのでしょう。
【 佳 作 】
多感なるある日のわれに秋野あり
豊中市 小倉 佳子
秋涼しババロアに挿す木のスプン
和泉市 押見けばげば
点滅の工事現場や虫の声
吹田市 堀田 恵美子
実石榴や赤色巨星爆発す
京都市 草夕 感じ
風の音塩辛とんぼ通りすぎ
吹田市 矢野ゆう子
◆ つぶやき評 ◆
言葉から俳句を作ろうとするとどうしても硬くなってしまいます。ものを見て素直に出てきた言葉で作れば、それが一番です。その言葉に発見があれば、なお素晴らしいです。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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