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-豊中市- 進める無電柱化計画

2024.12.04
曽根駅周辺。道路標識や街灯、変圧器などの地上設備はあるものの、電柱や電線は見当たらない。

 

阪急岡町駅周辺

 

国には約3,600万本の電柱が建っており、暮らしに不可欠な電気や通信を支えている。しかし、災害による電柱の倒壊や、見通しの悪さによる交通事故など、トラブルにつながる可能性もある。そこで国土交通省で推進しているのが2021年に策定された「無電柱化推進計画」だ。

防災・安全・景観につながる「無電柱化」

無電柱化を推進する目的は大きく3つに分類される。まずは、防災機能の向上。災害時の避難や緊急車両の通行、救急活動に支障をきたさないよう、特に緊急交通路となる道路を対象に無電柱化が進められている。

次に、歩行空間の安全性と快適性の向上だ。歩道を狭める電柱をなくすことで、ベビーカーや車椅子などが通行しやすくなる。

そして最後は、都市景観の向上だ。電柱と電線を地上からなくすことは、地域の魅力を高めることにも関係するという。なお無電柱化にあたっては、道路の地下空間に電⼒線・通信線をまとめて収容する方式が標準的だ。

豊中市の無電柱化の現状と今後

私たちが暮らす北摂はどうだろうか。実は豊中市の無電柱化の歴史は古く、1950年代からはじまったニュータウン開発にあわせた大阪府の事業として、約15kmの道路で実施された。1990年代後半には、都市景観推進道路として曽根駅の東側が、2000年ごろには、阪急宝塚線の高架事業と合わせて岡町駅の高架に並行して走る道路が無電柱化された。

往来を妨げる電柱や視界を遮る電線がないメリットは多く、災害に強く、人にやさしい、美しいまちづくりへとつながる点が挙げられる。

2022~2025年度までの計画では、新たに4路線(約1.6km)の整備を進めるとしている。現在事業中の「服部天神駅前広場」は、無電柱化を行う予定で、他には大阪池田線と国道176号を結ぶ都市計画道路三国塚口線(府事業中)と交差する「曽根島江線」、UR都市機構の団地建て替えとあわせて行う「新千⾥東町歩第8号線(千里小道こぼれび通り)」、そして都市防災機能の向上を図るために国道176号の整備と⼀体的に進められている「神崎⼑根⼭線(菰江交差点)」の4つ。

広場整備とあわせて無電柱化も行う服部天神駅前

無電柱化工事が全て完了するまでは、平均7年もの歳月を要するという。現在進行中の工事が完了するころには、豊中市の新たな姿が見えてくさらにコスト圧縮や関係者間の調整、住民の合意形成など、クリアすべき課題は多い。

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