吹田市出身の伊与原新さん「藍を継ぐ海」で直木賞受賞
2025.02.10
伊与原新 著『藍を継ぐ海』(新潮社刊)
第172回芥川賞と直木賞の選考会が1月15日に東京で開かれ、直木賞に伊与原新さんの「藍を継ぐ海」が選ばれた。伊与原さんは2回目の候補での受賞となった。
伊与原新さんは吹田市生まれの52歳。東京大学大学院で地球惑星科学を専攻し、その後、富山大学で助教を務めていたときに小説を書き始めた。
受賞作の「藍を継ぐ海」は、日本各地を舞台にその土地特有の歴史や自然などをモチーフとした短編集。なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子や、長崎の町役場への面倒なクレーム電話をきっかけに、謎めいた空き家にたどり着いた公務員などのストーリ―全五篇。新潮社によると「これまでも科学が人に与える驚きと希望を描き続けてきた著者が紡ぎ出す短篇集。日常にまぎれ、つい忘れがちなことを思い出させてくれる、心が整う小説」と紹介されている。
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©️新潮社
直木賞を受賞した伊与原新(いよはら・しん)さん。
1972年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。2019年『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞。他の著書に『八月の銀の雪』『オオルリ流星群』『宙(そら)わたる教室』『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』『磁極反転の日』『ルカの方舟』などがある。
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