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俳句コーナーVOL.68 入選作品を紹介!

2025.05.02

3月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。

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【 優秀賞 】

遠霞山羊の瞳のカントめく

大阪市 平川 直子
遠くに霞がかかっている春の長閑な日。牧場か動物園でしょうか。山羊に出合いました。山羊の瞳はぼやっとして定かではありませんが、この日はあの哲学者のカントのように見えたということ。「カントめく」がよいです。

 

【 入 選 】

飯盒へ水なみなみと建国日

和泉市 押見げばげば
飯盒を使い終わった後の状態。季語への淡い思いが伝わってきます。

霾や足音もなく李白来る

吹田市 堀井咲千子
大陸から来る黄砂と共にあの李白も一緒に来ている。面白いです。

昇り藤まだ男とか女とか

京都市 月下 檸檬
下十二の思いを生かす季語は難しい。「昇り藤」を見つけたことが手柄です。

ため息も一緒に飛ばす石鹸玉

高槻市 葉月庵郁斗
大人が石鹸玉を吹いているのでしょう。ため息の一つ一つが飛んでゆきます。

かたよりし弁当たのし母子草

日野市 平井 都々
子どもの頃のお弁当を思い出しました。季語も思い出にふさわしいです。

 

【 佳 作 】

ほっこり肥えし翁が麦を踏む

高槻市 黒田 豊子

口笛も楽器のひとつ春寒し

吹田市 秋山  寛

前を向く春のリボンは縦のまま

刈谷市 山本とりこ

シスターの鼻歌ふわり春の風

尼崎市 宮武由佳子

菜種梅雨走りフェンスの点と線

高槻市 青木 幹子

 ◆ つぶやき評 ◆ 
伝えようとするので多くの言葉を俳句に盛り込んでしまいます。思いも入れてしまいます。俳句には多くの言葉や思いは不要。ものを描けば思いは伝わります。ものに思いを託し、何にも言わない。言葉を惜しむことです。

 

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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。

 

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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。

【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160

【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。

 

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山口昭男先生の最新巻の紹介

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