俳句コーナーVOL.69 入選作品を紹介!
2025.06.03
4月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
ちり紙にくるむ春日の乳歯かな
和泉市 押見げばげば
季語「春日」が動きません。抜けた乳歯を大切にくるんでしばらく置いておくのでしょう。子供の成長の証のような春の日差しがくっきりと注いでる。元気に大きくなってほしいという願いが伝わってきます。
【 入 選 】
もつれあふつもる話や糸柳
茨木市 角島 健二
久しぶりに出会った友。話を始めます。糸柳のように隙間がありません。
清明の獅子のあくびの長いこと
大阪市 平川 直子
暖かくなった四月ごろ。動物園のライオンものんびりと気持ちよさそうです。
宿帳にけふだけの名や夕桜
豊中市 山上 秋葵
この句のドラマは読み手が想像すればよいこと。季語が語ってくれています。
清明や月の海にも名のありて
日野市 平井 都々
月の暗い模様には名前があります。この時期、それがくっきりと見えます。
海棠や髪を濡らさぬほどの雨
和泉市 押見げばげば
海棠の花には雨が似合う。その雨も、ほんの少しが好ましいように思います。
【 佳 作 】
ヒヤシンス集団下校とは無口
千歳市 村瀬ふみや
方眼を線のびやかに花の雲
枚方市 菅井 香永
雲梯に藤の花房のびにけり
京都市 草夕 感じ
雷紋どんぶり購ひぬ花蘇芳
横浜市 沼野大統領
パティシエの高き帽子や春の虹
高槻市 葉月庵郁斗
◆ つぶやき評 ◆
家を出れば、新緑が広がっています。様々な花が咲き、虫たちも活発に。田や畑では人が動き、吟行に最適の季節がやってきました。俳句のはじめは、見ること触れることから。躊躇なく五七五の固まりにすることです。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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