「教室の目立たない存在」から万博公園の音楽フェスへ ムツムロ アキラさんが語る地元への恩返し
2026.05.03
吹田市出身のムツムロ アキラさん率いるロックバンド「ハンブレッダーズ」が、5月24日に音楽フェス「GALAXY PARK in EXPO」を万博記念公園で主催する。「スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました」と発するムツムロさんが音楽と出会い、地元で恩返しを果たすまでの軌跡を追った。
逃避の果てのロックバンドそれでも感じた進むべき道
ムツムロさんが初めてバンドを組んだのは、高校1年の学園祭。それがハンブレッダーズの始まりでもあった。そう聞くと、クラスの人気者が立つキラキラしたステージを想像するかもしれない。だがムツムロさんは、「自分も他のメンバーも、教室の隅にいる存在」だったと振り返る。しかも急遽枠が空いたという理由で学園祭前日に出演が決まったそうで「好きな曲のコピーをしましたが、他のどのバンドよりも下手くそでした」と苦笑するが、この経験が自身とバンドの原点になっている。
それまでの少年時代は、本人の言葉を借りれば「逃避の連続」だった。小学生時代は周囲となじめず、地元の千里山から片道1時間半かかる中学を受験。合格を果たすも、入部した剣道部の厳しい練習から逃げ出すため、父親にクラシックギターをねだった。「親がギター・マンドリンをやっていて、音楽を口実にしたらやめられるなと思って」。しかし音楽的な興味から入ったわけではないため練習が身に入らず、中2から入ったため、またしてもコミュニティに馴染めなかった。「練習に行く」と嘘をついて関大前の古本屋で漫画を読み耽ったり、阪急千里線に乗りながら手当たり次第にレンタルした音楽を聴き続けたりもした。「音楽を選んだのも逃避の一つで、全て自分なりの生存戦略」と語るムツムロさんが、逃げに逃げた果てでつかんだのが、学園祭で得た直感だった。「当時の僕たちと同じような、教室で居場所のなかった友だちが、演奏を見に来てくれたんですよ。その姿を見て『音楽やったらできるかもしれへん』と感じました」。
下積み時代に過ごした孤独な時間も糧に
大学を卒業後、ムツムロさんは学生時代から働いていた豊津駅前のコンビニでアルバイトを並行しながら、バンド活動を続けた。「当時の店長が本当によくしてくれて、柔軟にシフトを組んでくれました」と感謝を口にする。バイト仲間がライブを見に来ることもあり、ムツムロさんにとって大切なつながりだった。一方で、音楽活動としては「何の結果も残せていなかった」と明かす。「濃い霧の中をさまよっているような日々でした。特に夜勤の日は考える時間が多くて。でも深夜のコンビニで思い悩んだことも、大切な時間だったと思います」。その後、ハンブレッダーズは2020年2月にメジャーデビュー。2024年には大阪城ホールで、同年10月には日本武道館で公演を果たした。ただ、どれだけ遠くへ行っても、ムツムロさんの足は地元へ向いている。今も機会があれば北摂に帰り、行きつけのガルル珈琲(吹田市)でカフェラテとたまごサンドに舌鼓を打つ。このお気に入りの場所で生まれた楽曲は数知れない。
思い出深い場所でロックバンド流の恩返し
そしてハンブレッダーズが今年5月24日に、音楽フェス「GALAXY PARK in EXPO」を主催する。昨年10月の大阪城ホールでの開催に続き、今回は屋外での開催となる。会場は、ムツムロさんが家族とよく訪れた万博記念公園だ。「学園祭には、できるだけ関わりたくなかった」少年たちが時を経て、思い入れのある地元で今の等身大の姿を披露する。
「生まれ育った街と、自分を夢中にさせてくれた音楽への恩返しです。とにかくみんなに楽しんでもらいたい。僕たちにとっても、人生で一番大事な日になると思います」

万博記念公園のお祭り広場で遊ぶ幼い頃のムツムロさん。万博公園は幼少期からの思い出の場所。

ハンブレッダーズの4人

ムツムロ アキラさん/大阪出身の4人組ロックバンド・ハンブレッダーズのVo&Gt。ライブシーンを中心に頭角を現し、若い世代を中心に老若男女幅広くファンを拡大中。2020年にメジャーデビューを果たし、今年1月にニューアルバム「GALAXY DRIVE」をリリース。2月からは初の全国ホールワンマンツアーを開催した。

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