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CULTUREコラムVOL.6 梅花から「令和」を込めて 日本の「元年」はいつ?

2020.01.31

新しい元号になって二年目、改めて日本の年号を振り返ってみましょう。皆さんは元年をいつと考えられていますか?西暦ではなく、令和をさかのぼって数える年号です。元号を使いはじめる以前の話になります。

『日本書紀(にほんしょき)』という歴史書には、初代として神武天皇(じんむてんのう)の即位が、元年と記されています。日本の年号は、ここから数えられはじめます。暦を開くと、西暦二〇二〇年が「紀元二千六百八十年」と数えられています。神社に参詣すると、この年号が記されていたりします。

『日本書紀』には、天と地が別れる前からが書き起こされています。巻第一と第二に、神が生まれ国が誕生する神話が記され、第三が神武天皇の巻になります。全三十巻。都を藤原京に遷した持統天皇代までのできごとが、歴史として記されています。完成当初は系図も一巻あったようですが、今は残っていません。記述の中には、私たちが住んでいる地名や地域に起きた出来事、神社仏閣の誕生等を読むことができます。南海トラフ地震の記事も見つけられます。

ここでは、同時代に編まれた『万葉集』に関わるエピソードをひとつ。『日本書紀』が表す歴史は、歌を交えて記されています。これは、日本の歴史が、もとは口で語り継がれ、会話部分等に歌が用いられたためです。オペラのような歌劇を想像すると、考えやすいと思います。これが文字に記され、書物として読まれるようになります。興味深いのは、巻第二十八の天武天皇条の上巻から、記す歴史に歌が見られなくなることです。この巻は、六七二年に起きた壬申の乱を記しています。これ以降に、歴史は『日本書紀』へ、歌は『万葉集』に記すという区別ができていくようです。『日本書紀』も『万葉集』も、天武天皇の時代に編まれはじめていく様子がうかがわれます。こうした『日本書紀』の完成は、後を継ぐ『続日本紀』(しょくにほんぎ)に、養老(ようろう)四年(七二〇)のこととして記されています。今年はちょうど、編纂千三百年!図書館で開いて、住まわれている地域の古を尋ねてみるのはいかがでしょうか。もちろん、このコラムでも取り上げていきます。

梅花女子大学教授 市瀬 雅之

現代訳から原文までを用いて『万葉集』に文学を楽しむほか、『古事記』や『日本書紀』等に日本神話や説話、古代史をわかりやすく読み解く。中京大学大学院修了 博士(文学)。著書に『大伴家持論 文学と氏族伝統一』おうふう 1997年、『万葉集編纂論』おうふう2007年、『北大阪に眠る古代天皇と貴族たち 記紀万葉の歴史と文学』梅花学園生涯学習センター公開講座ブックレット 2010年。ほか執筆・講演・講座多数

 

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