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フードロスを解消しておいしい野菜を届けたい 八百屋のタケシタ

2020.02.19

「八百屋のタケシタ」(神戸市西区)の店主・竹下友里絵さんは、「生産段階で発生するフードロスを少しでも減らして、味や農法にこだわった野菜を届けたい」と、農家と消費者の双方に利益がある取り組みを行っている。

フードロスというと、食べ残しや売れ残りなど消費段階で起こるものを想像しがちだが、生産段階でも発生しているという。「例えば『ブロッコリーは上から見て、房が丸くなければならない』など大きさや形に関するもの、『熟しすぎて割れてしまったイチジクは出荷できない』という見た目に起因したものなど、地域や農家などで独自の取り決めがあります。でもそれに合わないものが必ず3割程度出ます」。通常の流通には乗せられない野菜のほとんどは、農家で廃棄されるのだとか。

黒星が5つ以上あるナシ(左)や割れたイチジクは廃棄されていた。

この状況を改善するため、竹下さんはまず神戸に多いモモ農家に注目。「モモは収穫前に熟して実が落ちたり、収穫時に傷がついたりすることも多い」ことを知り、「ジャムや洋菓子に加工すれば活かせる」と加工場やケーキ屋を探した。現在は三宮や元町の飲食店にも農産物を卸す。「飲食店との発注の仲介をする際に『規格外の野菜が入ったから買い取ってほしい』とは言いたくない。普段の関係性が大切」と竹下さんは語る。

地下鉄の駅構内や県庁前での小売りも定期的に行い、昨年11月からは神戸市内の幼稚園やオフィスなどで注文を受け、野菜を詰め合わせるサービス「見繕いセット」も始めた。農家は規格を気にせずに良いものを作ることに集中でき、利用者は鮮度が高くておいしい地元野菜が手に入るほか、子どものお迎えや仕事帰りに買える便利さも魅力的とあって好評だ。

今後は自社の加工場を持って、規格外野菜を加工して販売する構想もある。ただし規模はあまり拡大したくないという。なぜなら「更なるフードロスを出したくないから」。

竹下 友里絵
(タベモノガタリ株式会社・代表取締役、八百屋のタケシタ・店主)
関西学院大学総合政策部で、以前から興味のあった飢餓問題における国際協力について学ぶ。次第に「食について学びたい」と思うようになり、神戸大学農学部に編入。在学中に起業準備を進める。「規格という枠組みから外れた農産物の流通」というテーマで「ユヌス&ユーソーシャルビジネスデザインコンテスト2018」に出場し「ボーダレスジャパン賞」を受賞。2月以降の平日14時~18時は地下鉄名谷駅構内にて販売。

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