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400年の歴史と未来を神輿(みこし)でつなぐ「千里祭り こどもみこしプロジェクト」

2026.10.03
レゴ®ブロックで作られたこどもみこし。全高70cm、
内部には子どもたちの願い事とご神体を納める。
土台は豊中市の新木工房が製作した。

 

2022年に始まった「千里祭り」は、今年で5年目を迎える。「このまちと、学ぼう!遊ぼう‼」をコンセプトに、地域住民と地元事業者、大学、市民団体が連携し、仕事体験やワークショップを千里エリア各地で展開する地域共創イベントだ。今年は千里ニュータウン開発以前からこの地にあった「新田村」が400年の節目を迎えることから、上新田天神社の秋祭りと連携した「こどもみこしプロジェクト」を実施する。発起人の野村仁志さんに話を聞いた。

野村仁志さん。百貨店に勤める傍ら大阪公立大学の客員研究員として地域コミュニティや地域プラットフォームの研究を続けている。

交流の場を失った時代に生まれた「千里祭り」

千里祭りが誕生したのは、コロナ禍で人と人との交流の場が失われていた2022年。千里ニュータウンが還暦を迎えた年である。特徴は、一カ月にわたる開催期間と、一つの会場に人を集めるのではなく、地域の事業者の店舗を会場に学びと体験を届ける「街ゼミ」形式にある。参加・協力団体は年々増え、今年も100を超える。今年の本番は11月14日、15日の2日間。千里中央にあるせんちゅうパルと千里文化センター「コラボ」を舞台に、子ども向けのワークショップや大人向けの癒しや学びのプログラムが並ぶ。「イベント開催が目的ではなく、地域の活性化が目的。コロナも落ち着き、様々なイベントが開催される中で、千里祭りの意味を考え直した時期があった」と野村さんは振り返る。

事業者にも子育てママにも広がるコミュニティ

その問い直しを経て、2024年度から千里祭りは「地域の人がチャレンジできる場所」へとコンセプトを転換した。個人事業主がテストマーケティングを行い、学生が活動を発表する。ここでの出会いをきっかけに、事業を拡大する事業者も複数生まれた。その中核を担うのが、千里祭りから派生した「せんプラCafe」だ。月に1回、地域のママたちが集まり、子育ての悩みだけでなく「やりたいこと」を共有する場として、活動開始から2年が経つ。「子育てしながら事業者として活動する方も多く、仕事を始めた理由を聞くと、多くの方が子育ての孤独感から自分を見つめ直し、やりたいことを見つけている。ニュータウンは元気がないと言われた時期もあったが、自分で何かをしたいと思っている人は、特に子育て世代の間で確実に増えている」と野村さんは話す。千里祭りは、ママたちのやりたいことを実現する場にもなっている。

地域を動かす「活動人口」という視点

野村さんは大学の客員研究員として、地域のイベントをきっかけに、コミュニティや活動が生まれている状況を調査している。千里ニュータウンのイベント関係者16人へのインタビューでは、共通するプロセスが浮かび上がった。運営参加をきっかけに、地域を知ることで愛着が湧き、自分の役割に気づき、自ら動き始める――。「好きになるかどうか、愛着が湧くかどうかは、地域にどれだけ関わったかで決まる」。子どもたちに行ったアンケートでも、イベント中に地域の人と話したり関わったりした子どもほど、地域にポジティブなイメージを持つ割合が高いという結果が出た。第1回の千里祭りで竹林の活用を考えるワークショップに参加した小学生の女の子が、終了後に「今までは普通の竹林だったけど、私の竹林になりました」と話した言葉が忘れられないという。その先にあるのが「活動人口」という考え方だ。「交流人口や関係人口など、外側からの活性化も大切だが、中にいる住民が地域に対して意識を持って活動し始めることがより重要。地域のために頑張った結果が、自分たちにも返ってくる流れを作りたい」。地域イベントはエンターテイメント性があり、期間限定であるため、若い世代が地域に関わる入口としてハードルが低い点も強みだと分析する。

レゴ®ブロックで作る、みんなのこどもみこし

こどもみこしプロジェクトの出発点は、上新田天神社の中村宮司との会話だった。上新田は千里ニュータウンの中央に位置しながら、集落があったため開発から除外された地域である。400年をむかえる節目に千里地域をつなぐ「こどもみこし」のアイデアが浮かんだ。子どもたち自身が製作と巡行に関わることで地域への愛着を育てたい――そう考えた野村さんが選んだ素材は、レゴ®ブロックだった。家庭で使わなくなったブロックを千里文化センター「コラボ」などで募集し、せんちゅうパルで行ったワークショップでは、子どもたちの手で組み上げた。台座と担ぎ棒は豊中市の家具事業者が製作した。募集から製作、巡行まで地域住民や事業者が関わる「メイド・イン・千里」の神輿である。全高70cm、担ぎ棒は2m。屋根は「日の出」に見立て、千里から子どもたちが未来へ駆け上がる姿を表した。内部は空洞で、子どもたちの願い事とご神体を納める。当初は千里祭りの企画として構想されたが、協議の結果、上新田天神社秋祭りの正式行事として、子どもたちが上新田天神社から千里中央まで約1.5kmを巡行することが決まった。

「まさかレゴ®ブロックのみこしに神様が乗るとは」と野村さんは感慨深げに話す。400年の歴史を刻む上新田と、新しく生まれ変わろうとする千里中央。二つのまちをつなぐのは、子どもたちの肩に担がれた小さいが地域の想いが詰まった神輿である。千里祭り2026は11月に開催。各種イベントやこどもみこしの詳細は千里祭りのホームページ等で順次発信される。

8月1日、2日にせんちゅうパルで開かれたワークショップ。千里クイズ、おみこしづくり、ゆめ・ねがいごとの記入という流れで、約170人が願い事を寄せた。

 

家庭で使わなくなったレゴ®ブロックの回収ボックス。上新田天神社や千里中央のプログラボや類塾プラスなどにも設置された。

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