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鮮やかなピンクのじゅうたん 今年は早めの開花に 25年前の地滑りの記憶

2020.04.03

阪急仁川駅を降り、川沿いに約20分歩くと、斜面一帯に鮮やかに広がるピンクが見えてくる。近づくと様々な濃淡のシバザクラ。例年はソメイヨシノが咲き終わった4月中旬以降に咲きそろうが、今年は暖冬の影響で4月初めには満開を迎えそうだ。甲山森林公園にもほど近いこの場所には、毎年1,000人を超える人々が花見に訪れる。
実はここ、1995年阪神・淡路大震災によって大規模な地滑りが起こった場所。仁川の両岸にある13戸の家屋が倒壊し、34人の尊い命が奪われた。この災害が繰り返されないよう、地中には水を抜く専用の管が張りめぐらされ、斜面は杭やブロックで補強されている。

「仁川百合野町地区地すべり資料館」(西宮市仁川百合野町10)の横に建つ慰霊碑。毎年1月17日、ゆりの会などが合同慰霊祭を行う。

シバザクラの手入れを行うのは、ボランティアグループ「ゆりの会」メンバー。災害当時、地域に明るさを取り戻そうと、荒れた空き地に近隣住民の1人がコスモスを植えたことをきっかけに始まった会で、現在のメンバーは65人。現在も週2回、約20名が1万株を超えるシバザクラの手入れや雑草の除去を丹精込めて行っている。
シバザクラのほかにリンゴやシダレザクラなど、季節ごとに違う植物がこの場所を彩り、近くの小川にはホタルやサンショウウオが生息する。豊かな自然を維持しながら、25年前の脅威の記憶を風化させないよう災害への備えを訴えている。

かつて幅約100㍍、長さ約100㍍、深さ15㍍の地滑りが起こった場所に、シバザクラが咲きほこる(地すべり資料館 西側斜面)

 

仁川百合野町地区地すべり資料館

住所:兵庫県西宮市仁川百合野町10-1
開館時間:10時~16時
休館日: 月・木曜日、年末年始 (4月4日現在、臨時休館中)
入館料:無料
TEL. 0798-51-5904

https://web.pref.hyogo.lg.jp/hsk06/hs04_1_000000023.html

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