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梅花女子大学名誉教授の三宅興子さん 第17回「国際グリム賞」受賞

2020.04.20

昨年11月、梅花女子大名誉教授の三宅興子さんが第17回「国際グリム賞」(大阪国際児童文学振興財団などが主催)を受賞した。受賞後、母校である大谷女子短大の同窓会会報の寄稿では、恩師への感謝を述べるとともに、同大で初めて教鞭をとった頃のことや「当時の卒業生たちと、地方講演などで再会できたことがなによりうれしかった」など過去を振り返った。

三宅さんの研究テーマはイギリス・ビクトリア朝の児童文学が中心だが、子どものころから乱読で物語なら何でも楽しんで読んだそうで、当時に読んだ本も研究対象だったという。長年に渡って児童文学研究の促進と発展に大きく貢献した三宅さんは、昨年も「イソップ絵本はどこからきたのか 日英仏文化の還流」(三弥井書店)を共著で出版。イソップ寓話の世界への伝播力に注目。本書の紹介でも「イソップ寓話の伝わり方・伝え方が日本・イギリス・フランスでかなり違うことがわかった」「子ども時代に一度は出会ってほしい知恵の宝庫です」とイソップの魅力を語っている。

児童文学を続けてきた理由について、受賞後の記念講演会で「次の世代への手がかりをしっかり残しておきたかったから」と話す。恩師の学恩に報い、学生たちと専門性を深め、学外でも図書館司書や文庫活動をしている人たちと交流するなど、次世代へ確実に研究を繋いでいる。また著書「児童文学の愉楽」(翰林書房・2006年)には次のように記している。「子どもの本は、親が、教師が、図書館員が子どもに与える本であると同時に、自分たちの子ども時代を振り返り、エネルギーを取り戻し、安らぎを与える場所でもあったし、これからもあり続けていくことだろう」(362ページ)。研究の傍ら、児童文学の普及にも尽力した三宅さんの思いも引き継がれてゆく。

国際グリム賞を受賞した梅花女子大名誉教授・三宅興子さん

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