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30年前から続く 池田市の「まち角の図書館」

2020.04.08

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。感染拡大を防ぐために各種イベントは中止、学校や公共施設も休校したり臨時休業に。各地の図書館も例外ではないが、コロナウイルスにめっぽう強そうな図書館が池田市にある。

30年前に第1号館が設置された「まち角の図書館」。スチール製の本棚にガラス戸を付けただけのシンプルなもので、無人・無料・無施錠。読みたい本があれば誰でもその本棚から借りられ、いつ返してもよい。寄贈したい本は本棚の下段に置いておく。小規模だから客同士が群れることもなく、ウイルスによる「濃厚接触」の心配もない。

なんて便利な図書館なのだろうと思う一方で、成り立っていくのか、盗難は起きないのかなど不安に思うことも多い。だが心配は要らない。池田市の市民性とボランティア団体「池田のまち角に図書館をつくる運動実行委員会」の活動で、この30年間に13か所まで増え、大切に利用されている。

委員会創設時から活動されていた木村順子(きむら じゅんこ)さんによると、創設者は古家孝人(こや たかひと)さん。毎日新聞社を退職後、池田市の人気ローカル紙「ガンガラ新聞」を創刊した人でもある。当時、池田市では年に2度の古本市を開催していた。1年間で4~5,000冊の寄付があるが半数が売れ残った。それを有効利用しようと「まち角の図書館」を考案したそうだ。「良い本はみんなで共有しよう」という発想だ。

善意で集まった本が汚れないように雨漏り対策を工夫するなどしたため実現までに3年かかった。一号館は1990年4月に現在の市役所前の道を挟んだバス停のところに建てられた。

本棚の上にはシーサーが置いてある。なぜ沖縄の守神が池田にいるのか。それはこの活動が評判を呼んで、沖縄県与那原町、長崎県佐世保市、宮崎県西都市にまで広まったことと関係している。創設してからNHKの教育番組で「まち角の図書館」が取り上げられたのが縁で、最初に与那原町にできた。その縁でシーサーが送られてきたのだ。池田市のまち角図書館13か所の中には、市立池田病院前のもある。入院患者からは「素晴らしいものを作ってくれてありがとう」という声が木村さんに寄せられたという。貸し出し手続きも必要がない手軽さが好評だ。

池田市には全国どこの図書館にも負けない図書館がもう1か所存在する。阪急池田駅に直結している商業施設「サンシティ池田」の3階にある池田市立図書館だ。特筆すべきは、世界的に有名な家具ブランド、デンマークの「アルネ・ヤコブセン」のイスやソファ、さらには壁紙と時計が採用されている。北欧では公共施設に良質な家具を置くことは一般的だが、日本の図書館にヤコブセンの家具が置いてあるのは池田市立図書館の他には、国会図書館関西館(京都府相楽郡精華町)くらいという。池田市立図書館にはソファと椅子を含めて約20脚、関西館には8脚ほどあるそうだ。

池田市立図書館にある座り心地の良いイスは、デンマークの家具ブランド「アルネ・ヤコブセン」

アルネ・ヤコブセンは、デンマーク出身。20世紀に最も影響力のある建築家・プロダクトデザイナーと言われた。オックスフォード大学の食堂では現在もヤコブセンがデザインした椅子が使われているという。

北欧は日照時間が短く、家で家族と過ごす時間が長い。人と人とのつながりや物を大切にすることは北欧文化の特徴で、座り心地の良いヤコブセンの椅子はその象徴だ。
ただし池田市立図書館は残念ながらコロナウイルスの影響で、4月7日まで休館だ。

取材・執筆は久保まなさん=関西大学総合情報学部3年。池田市役所前のバス停近くにある「まち角の図書館」第1号前で

池田市立図書館

住所:大阪府池田市呉服町1-1
開館時間:月~土曜10時~20時、日曜祝日10時~18時
休館日:毎月第3水曜 、年末年始、蔵書点検期間(4月7日まで臨時休館)
TEL. 072-751-2508

http://lib-ikedacity.jp/index.html

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