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【インタビュー】三木在住のミステリー作家・貴戸湊太さん デビュー作が『このミス』大賞で「U-NEXT・カンテレ賞」受賞!

2020.05.07

兵庫県の高校を舞台に繰り広げられる「ユリコ様伝説」をめぐる殺人劇――。臨場感あふれる描写と手に汗握る展開に、知らず知らずのうちに引き込まれ、最後まで一気に読みたくなる作品だ。兵庫県三木市在住の小説家・貴戸湊太さん(30)のデビュー作『そして、ユリコは一人になった』が、ミステリー作家の登竜門として知られる『このミステリーがすごい!』大賞(宝島社主催)で「U-NEXT・カンテレ賞」を受賞した。4月23日に最終回を迎えた同作が原作のドラマも好評のうちに幕を閉じた。貴戸さんは「単純に面白いものを書きたい。『最近疲れているな』と思っている人に、自分の小説を読んでちょっとでも元気を出してもらえたら」と話す。

関西テレビなどで放送された同作のドラマ。玉城ティナさん主演 U-NEXT独占配信中 ©U-NEXT/カンテレ

ミステリーとの出会いは、幼少期に母が読み聞かせてくれたアガサ・クリスティー。これをきっかけに、ミステリーを中心とした小説を読みあさるようになった。中学生の時にライトノベルを書いたこともあったが、本格的に執筆を開始したのは23~24歳の頃。新卒で就職した先を辞め、現在も続けている塾講師の仕事の合間を縫って、新人賞に応募する日々が続いた。最初は全く結果が出なかったが、次第に1次選考、2次選考と進むように。転機は2016年、「第6回アガサ・クリスティー賞」(早川書房など主催)の最終選考に残ったことだった。奇しくもミステリーにハマるきっかけとなったクリスティーが貴戸さんの背中を後押しし、一層執筆に励むようになった。

アイディアは近所を散歩中にひらめくことが多いという貴戸さん。「アイディアを出そうとすると出てこないのですが、公園で子どもを見ていて、ぱっと浮かんだりすることもあります。アイディアが出た後は、家でパソコンと時間でも向き合って、文字を打ちながら細部の描写を考えています」。執筆の楽しさは「自分の空想や妄想が形になること」で、あらすじは2、3日、本編は2~3週間で書き上げる。「小説家の知り合いに言うと、早いと驚かれました」と、貴戸さんの集中力の高さがうかがえる。

貴戸さん80作目となる本作は「殺人という非日常を、登場する生徒たちがどう受け止めるか、リアリティをどうすれば持たせられるか、など心理描写にこだわりました」。高校生の日常を描くにあたって、塾講師の仕事も役に立ったという。「生徒は中学生が中心なので、子どもたちの日常や雰囲気を掴むことができました。また日ごろから、講師として分かりやすい言葉を選ぶようにしているので、それも良かったですね」。

貴戸さんがよく歩く散歩コース

応募する前に、毎回のように作品を読んで感想をくれる友人に見せたところ、「今回は直すところがほとんどない」と言われ、いつもより手ごたえを感じていた。とはいえ、受賞の連絡が来た際は現実味がなく「周りに報告したらすごく喜んでくれたので、それで初めて実感が湧きました」と笑う。

デビューしてから心境に変化も。「小説家として責任を伴うので、作品を丁寧に仕上げるようになりました。今後はじっくりと書き上げていきたい」と気を引き締める。現在は次回作に向けてあらすじを構想する日々だ。次はどんなハラハラ・ドキドキを見せてくれるのだろうか。兵庫発・期待のミステリー作家から目が離せない。

受賞後、取材で引っ張りだこの貴戸さん

 

貴戸湊太(きど そうた)

兵庫県三木市出身・在住。デビュー作『そして、ユリコは一人になった』が第18回『このミステリーがすごい!』大賞で「U-NEXT・カンテレ賞」を受賞。三木ゆかりの芸術家を支援する団体「若手アーティスト応援団」の応援アーティスト。令和元年「三木市文化芸術奨励賞」受賞。

そして、ユリコは一人になった

好評発売中

文庫判(336ページ)770円

https://tkj.jp/book/?cd=TD002211

 

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