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俳句コーナーVOL.10 2020年4月入選作品を紹介!

2020.06.04

4月25日締切りでご投句いただいた中から、山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。

優秀賞

チューリップ口紅ならばこの色を       箕面市  高橋 真美

チューリップの赤を見て、口紅の色をこの色と願ったとも読めます。チューリップの花を見ながら友達に今持っている口紅の色を自慢しているようにも読めます。多様に読めるのは、切れを生かすことが出来ているからです。

 

入選

水底の石も動かず冴返る          明石市  角谷 徳美

春先の寒さを水底の石で詠いました。寒さに縮こまっている石が見えます。

 

たんぽぽの園にとなりて歯科医院       茨木市  河本 要

たんぽぽが咲いている公園。その横に歯科医院がある。長閑な春の一日です。

 

蝸牛親には言えぬ隠し事       西宮市  宮部志津枝

上五は何でもつきそうですが、やはりこの季語。安心できる隠し事です。

 

末黒野や手榴弾のような赴任        箕面市  高橋 真美

とんでもない赴任だったのでしょう。比喩が季語に共鳴して面白いです。

 

何もかもみんな無くなり桜かな         茨木市  婆婆羅

桜の花だけが咲き誇っている季節です。大胆な切口がよいです。

 

佳作

折り返す電車に一人春の雪        明石市  角谷 徳美

幾度見ん窓辺に立ちて春の庭       西宮市  青木 淳子

川風が通り抜け行く花見かな       豊中市  赤穂トモエ

桜咲く我が道をゆく犬のあと       芦屋市  石井 直子

ころんでも涙こらえて犬ふぐり      西宮市  井上 未紅

 

 

 

つぶやき評

報告的な俳句が少なくなってきました。たいへんよいことです。一か月の内、何かを見つける。その発見が、季語と出会うことで詩になってゆきます。普通のことであれば、散文で伝えればよいということです。見つけてください。

 

選者 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。

 

 

【 俳句の応募方法 】
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[ 応募フォーム ]
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。

山口昭男先生の最新巻の紹介

シリーズ自句自解Ⅱベスト100 山口昭男定価1500円+税 版元 ふらんす堂

既刊句集より100句抄出して著者みずからが解釈を付したもの。一句が出来上がるまでの作家の推敲のあとをたどることができ、実作者の句作りにおおいに役立つ入門書である。(Amazonなどで販売中)

 

※この度の緊急事態宣言を受け、シティライフは4月8日から取材・制作・営業活動を自粛いたしました。そのためシティライフ6月号( 5月25日配布)の発行及び配布が困難な状況になり、やむなく休刊させていただくことになりました。ご投句いただいたいている皆さまには、紙面でのご紹介ができず、申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。

シティライフ7月号(6月末発行)から再刊いたします。

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