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教えてスペシャリスト Gourmet Study~発酵の巻~

2020.07.27

発酵食品ってそもそも何?腐るのと発酵は違うの?身体に良いって本当?

今回はそんな素朴な疑問を、発酵食品のスペシャリストにお聞きしました。

日本人の食生活に欠かせない発酵食品について、新たな知識を身につけましょう。

今回のスペシャリスト

森下 恭子さん

NPO法人「地球環境再生機構」理事長。
発酵食品の普及を目指し、微生物の専門家を招いて講演会や学習会を定期的に開催。
その他拠点を置く茨木市で、子どもとその家族を対象とした無農薬・有機農法の「食育菜園」や、ボランティア活動の一環として環境教育を行っている教育学士である。

 

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Q.そもそも発酵食品とは何ですか?
A.豆や穀物などの農産物や魚介類、肉などに微生物を作用させて、貯蔵性の高い、香味に優れた食品に代えた物を「発酵食品」と言います。植物や動物などの有機物は、命を終えると見た目には無くなってしまいます。これは微生物がそれらを分解してしまうからです。微生物が分解する過程で、人の体に有益な物を「発酵」と言い、有害な物を「腐敗」と言い分けています。

 

Q.発酵食品が生まれたきっかけは?
A.発酵食品は偶然から生まれました。最古の発酵食品は、紀元前5000年頃地中海地方で、残った羊の乳が偶然さわやかな酸味のある物になった事でヨーグルトが誕生しました。また、煮たダイズを藁(わら)に包んで畑に持ち運び置いていたところ糸を引く物ができました、これが納豆のはじまりです。納豆は藁についている枯草菌が大豆タンパクを分解して出来た物です。こうして日々の生活の中で偶然できた物を勇気ある人が食べてみた結果「いつもと違うけどおいしい」と発見されたのが発酵食品の始まりです。

 

Q.発酵食品にはどのような種類がありますか
A.発酵食品を作るのは、細菌、カビ、酵母などの微生物です。(1μmから10μm;1μmは1/1000mmの大きさ)細菌は納豆、塩辛、ヨーグルト、チーズ、キムチなどを作り、酵母はビール、日本酒、ウイスキー等を作り、カビ(麹菌含む)はカマンベールチーズ、鰹節、味噌、醤油、酢などを作ります。(複数の菌が関与することもあります。)「百薬の長」と言われる日本酒は麹菌(カビ)がお米のデンプンを分解することから生まれます。日本の発酵食品の特徴は麹菌を利用することです。日本は発酵食品の宝庫です。麹菌は2006年に「日本の国菌」に登録されています。

 

 

Q.発酵食品が体に及ぼすメリットは?
A.食品は、消化器官で分解・吸収されてエネルギーとなります。麹菌を例にとると、麹菌は分解酵素を出して、原料の米のデンプンを分解して糖に、その後アルコールにします。こうしてできたアルコールは分子量が小さく早くエネルギーに変えられます。また麹菌は消化酵素を出すので食品を早く消化吸収させます。また納豆は、血栓溶解酵素を持っており、便秘改善にも効果があります。味噌も多くの機能性があり、毎食食べることをお勧めします。

 

 

Q.発酵食品の上手な取り入れ方とは?
A.市販されている麹にその倍量の水を加えて保温容器で、6~10時間保てば甘酒ができます。これは「飲む点滴」とわれているほどで誰でも飲めて元気が出ます。アルコール分がないし天然のうまみや甘みがたっぷりなのでどなたたにでもお勧めです。また、塩こうじはお肉につけるとやわらかくおいしく変身させます。ぬか漬けなど気軽にできることから取り入れてみてください。

 

 

 

NPO法人 地球環境再生機構

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