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調剤薬局と本屋をひとつに 豊中に「ページ薬局」がオープン

2020.09.24

今年6月、豊中市に調剤薬局と本屋がひとつになった店がオープンした。
一見すると普通の調剤薬局だが、店先の黒板には「”本”棚替えしました」の文字が。

「”本”棚替えしました」と書かれた黒板

運営するのは薬剤師の瀬迫(せさこ)貴士さん。

世間の情報や流れを知るために、週に1度は本屋に足を運ぶ

店名には「人生が変わるような1ページに出会ってほしい」との思いを込めた。

 

瀬迫さん自身、就職活動をきっかけに本を読み始め、本との出会いが人生を変えてきた。

この店をオープンするきっかけになったのも、大学の後輩と一緒に挑んだ「1ヵ月100冊読書」。
チャレンジする中で、人からおすすめの本を紹介してもらったり、文学バーを訪れたり、本を介したコミュニケーションの楽しさを知った。

「1ヵ月100冊読書」は90時間ほどで達成

 

次第に、「もっと本に関わりたい」と思うようになり、薬局を出店するタイミングで、本屋と融合させた店にしようと決めた。

 

店には約1,000冊の本が並ぶ。「薬局に本を置くことで、偶然の出会いを提供したい」と、薬や健康に関する本はあえて置かず、絵本や小説、料理本など「普通の本屋」の品ぞろえにこだわった。

本棚にはスタッフさんの作った楽しいポップが並ぶ

薬を待つ間、親子が絵本を読み聞かせする姿もあり、「この待ち時間が良い時間になっていると思うと、この店をして良かったなと思う」と瀬迫さんは言う。

本を売っていることを知って、遠くの病院の処方箋をもって訪れる人がいたり、薬を受け取るついでにいつも本を買っていく常連客がいたり、店は本との出会いを楽しむ場にもなっている。

瀬迫さんは、「処方箋がなくても、本屋を訪れるように気軽に来てもらえたら」と話している。

「処方せん受付」と書かれたガラスドア越しにちらりと本棚が見える。

 

最後に、瀬迫さんセレクト、読書の秋におすすめの3冊をご紹介します。

●村山由佳著「ダブル・ファンタジー」(上・下)/文春文庫

「村山由佳さんは、恋愛小説の表現がうまくて、個人的にも好きな作家さん。秋の夜長にどっぷりはまれるものを選びました」

 

●原田マハ著「楽園のカンヴァス」/新潮文庫

「原田マハさんの美術ミステリーで、一番おもしろいと思う。長さもあって、読み応えがあります」

 

●ハ・ワン著、岡崎暢子訳「あやうく一生懸命生きるところだった」/ダイヤモンド社

「コロナ禍で、空気がはりつめたり、ストレスを抱えたときにちょっと肩の力が抜けるものを」

 

<店舗情報>
ページ薬局
豊中市蛍池東町2-3-6 シャンティー今谷101
営/月火木金:9時半~18時半、土:9時半~12時半、水日祝:定休日
アクセス/大阪モノレール線蛍池駅から徒歩4分、阪急宝塚線蛍池駅から徒歩3分
https://page.friend-ltd.com/

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。