俳句コーナーVOL.15 2020年11月入選作品を紹介!
2020.10.31
9月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
新聞を右手にもちて昼寝かな
神戸市 生和 幸子
夏の昼過ぎ、新聞でも読もうかと思い寝転ぶ。読みながら気持ちよくなり、うとうとし始める。とうとう、寝入ってしまった。というところでしょうか。気がつくと読もうとしていた新聞はしっかりと右手に。昼寝の一つの姿です。
【 入 選 】
動物園真上の月や針鼠
西宮市 宮部 志津枝
真上に上がった月を見ている動物園の針鼠。何を思っているのでしょう。
銭湯の小さき天窓秋の星
箕面市 高橋 真美
銭湯に天窓がある発見。そして、そこから見える透き通った星。秋です。
ななかまど久しく紅をひく朝
豊中市 小倉 佳子
朝は「あした」と読みます。七竈の声を聞き紅を引く。久しぶりがよい。
秋深し一円切手さがし当て
茨木市 松尾 むつ子
季語がよいです。他の季語にしてしまうと単なる報告となってしまいます。
濃く薄く金木犀の道標
松原市 石原 茉莉
金木犀を頼りに目的地に向かっています。その香が濃く薄く。少し不安かな。
【 佳 作 】
思ふまま筆を走らせ秋の山
神戸市 玄 水
コスモスや吾も宇宙の欠片なり
松原市 石原 茉莉
野分雲寝転ぶ我も流れ行く
西宮市 青木 淳子
まっすぐに帰れぬ家やちちろ虫
茨木市 河本 要
でこぼこの楽器の音や木の実降る
茨木市 松尾 むつ子
◆ つぶやき評 ◆
俳句のほとんどは五感を通じて感じたことや気がついたことを描いています。それが報告的にならないのは、ひとえに季語の存在です。最適な季語は、一句の中で爆発的な働きをし、詩にかえてくれます。季語力を信じてください。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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