【SDGs】「ヘアドネーション」に「女性が働きやすい職場」 SDGs先進国で刺激を受けて開始
2021.04.18
北摂でSDGsに取り組む企業や団体、個人を取り上げる連載の第2回目。今回はヘアサロンに行ってきました!
茨木・高槻でヘアーサロン4店舗を経営する「髪創(はっそう)」。社長の中村禎二さんと妻であり取締役のひとみさんは、2年前に人材育成の研修の一環でSDGs先進国のスウェーデンに行ったことをきっかけに、SDGsの重要性を感じ、帰国してすぐにできることから取り掛かったという。
中村ひとみさん プロフィール
「有限会社髪創」取締役・中村ひとみさん。社長であり夫の禎二さんとともに高槻、茨木でヘアサロン4店舗を経営。人材育成の講習の一環として行ったスウェーデンでSDGsの重要性を認識。いまでは私生活や店づくりでもSDGsを意識するように。
研修旅行で訪れたスウェーデンはSDGs達成度1位。「保育園や小学校に行くと子どもたちは、日本では考えられないくらい細かくゴミを分別していました」。当時の日本ではSDGsという単語を聞いても首をかしげる人の方が多かった時期、スウェーデンでは子どもたちまで浸透していることに驚いた。町を走るバスやタクシーはバイオ燃料が用いられ、人が多い場所では人の熱を集めて回す風車で発電していた。日本との差に驚いた2人は「小さなことでも、何か始めなければ」と決めた。
「スウェーデンのペットボトル回収機を利用すると、植樹用に寄付をするかスーパーで使えるレシートのどちらかを選べます。子どもがレシートを持っていくとお菓子が買えるんですよ」とひとみさん
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帰国後まもなく、使い終わったカラー剤のチューブを回収し、車いすを購入する活動をしている理容院があることを知った。さっそく協賛を決め、機会があれば知り合いの同業者にも伝えている。また同時期にヘアドネーションも開始。カット料金のみで送料など自己負担して実施する。最近では子どもの希望者が多いのだという。「学校でSDGsをしっかり学んでいるのでしょうね」とSDGsの浸透を実感している。
使用済みのカラーチューブはキャップと分別。車いすにリサイクルされて介護施設などに贈呈される
いま力を入れているのは女性の活躍できる職場づくりだ。「子どもができると辞めてしまう”休眠美容師”の方に、働ける場を提供したい」とひとみさん。パートで週1回からでも働けるよう環境を整え、3,4年前には産休・育休明けや子育てを終えた女性のみのスタッフが働く「ママさんサロン」をスタート。
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人材教育では独自のカリキュラムをつくり、月1回の講習会で講義やワークショップ、プレゼンなどを組み込み、スタッフ自身の人間性を高めてほしいと考えている
早ければ17時半閉店、美容院が最も忙しいはずの土日祝日を休みにする、という思い切った決断をした。「女性ばかりなので『安心できる』とか『同じ悩みを抱えているので話しやすい』という言葉もいただいています」と、女性ならではの雰囲気や”子育てサロン”のような場を求めてくる人もいるようだ。「私も子育てしながら働くのが大変だったので、少しでも働きたい人が活躍できる場所が作りたいですね」とひとみさんは話す。
小児がんなどで頭髪を失った子どものための医療ウィッグで使う髪を提供するボランティア「ヘアドネーション」
【5ジェンダー平等を実現しよう】育休・産休明けの女性が働きやすい職場「ママさんサロン」を運営。日曜・祝日休みで短時間でも働ける場を提供している。【12つくる責任つかう責任】使用済みのカラー剤をリサイクスするプロジェクトに参加
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