俳句コーナーVOL.21 2021年6月入選作品を紹介!
2021.06.05
4月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
なわとびの一二三四桜散る
箕面市 清水寿惠子
俳句は定型という形の中で省略と切れを駆使して、季語を詠う詩だと私は考えています。この句には、それが見事に息づいています。縄跳びを数えながら跳んでいる子に桜の花びらが散っている。その景が心に迫ってきます。
【 入 選 】
ずんぐりと鍬傷のある筍よ
吹田市 川内 幸子
眼目は、「ずんぐり」。太々とした竹の子とその傷がよく見えます。
薫風や話してみれば佳き男
茨木市 河本 要
そうなんです。外見だけでは決められない。初夏の風が吹き抜けています。
チューリップ塀の穴から犬の鼻
箕面市 高橋 真美
塀の穴に見えるのは人の目ではなく犬の鼻。ユーモアがあり季語もよいです。
太股の筋肉質や青蛙
茨木市 山崎登代子
青蛙の太ももを筋肉質だという捉えが面白いです。跳ぶ力も十分でしょう。
しやぼん玉扇ぐ子追ふ子飛びつく子
吹田市 秋山 寛
しゃぼん玉を吹けば、子供たちは様々に動きます。そこをうまく描きました。
【 佳 作 】
三月の森にひとりの深さかな
豊中市 小倉 佳子
一杓で御身の濡るる甘茶佛
吹田市 小澤 桔梗
おおかたは空堀へ散る桜かな
箕面市 清水寿惠子
書き終えぬままの手紙や若葉冷
豊中市 安藤 知明
新聞に落ちる目刺しの焦げたとこ
箕面市 高橋 真美
◆ つぶやき評 ◆
説明的な句にならないためのひとつの方法として、省略があります。省略したところは読み手が自由に想像してくれます。すべて言葉で言ってしまうと、説明的になります。読み手に察してもらうことが俳句としては、大事です。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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