コロナ禍だからこそ新たなつながりを「フードパントリー茨木」
2021.07.07
代表の宮野さん(撮影時のみマスクを外しています)
茨木市で生活困窮世帯などに食料を無料で提供する「フードパントリー」が行われている。
始めたのは、ボランティア団体「フードパントリー茨木」代表の宮野剛志さん。
もともとは2016年から毎月1回、地域の子どもらに、居場所や食事を提供する「子ども食堂」を茨木市内9か所で開催していた。
しかし昨年3月、新型コロナ感染拡大の影響で会場だった市の施設が使用禁止に。子ども食堂も以前のようには開催できずにいた。
物資の受付カウンター。氏名などを記入し検温を実施
コロナ禍で支援が必要な家庭は増えているはず。
何かできないかと考えていたとき、偶然インターネットで「フードパントリー」の仕組みを知り、すぐに知り合いの社会福祉士に相談。
思い立ってから約3か月後の昨年11月、市立男女共生センター「ローズワム」(茨木市)で1回目の開催にこぎつけた。
同団体では、毎月2回、食料などを集める「回収日」を設けている。
回収日には、地元の人や食品関係の企業から物資が集まるほか、「近所でやってないから」と他市から足を運ぶ人も。
6月13日の回収日にはおよそ25組が訪れ、米やレトルト食品など食料を中心にティッシュやマスクなど生活用品も集まった。
集まった物資を別のスペースで仕分ける
1世帯ずつ仕分けられた食料
これらを約10人のボランティアスタッフで35世帯分に仕分け、後日、事前予約のあった家庭に提供する。
受付を担当した立命館大学経営学部の日高咲さんは今日で2度目の参加。「たくさんの人が物資を持って来てくれてうれしかった。この活動がもっと広がって、困っている人に届いたら」と話した。
一つずつ、手作業で食料を詰めていく
宮野さんによると「どの程度コロナの影響かは分からないが、今年2月頃から『食べるものがない』という連絡が増えた」という。
緊急のケースは、できる限りその日に備蓄分から物資を直接届けに行き、行政などの支援が届いているか確認。必要があれば市の担当者などへつないでいる。
活動を通して「いろんな事情を一人で抱え込んでいる人がたくさんいると気づいた」という。
今年4月、3度目の緊急事態宣言が出されたときには、車で一軒ずつ物資の回収に回るなど感染症対策の上、これまで途切れることなく活動を続けてきた。
今後はより多くの人へ支援が届くよう行政と協力しながら活動を広げる予定だ。
宮野さんは「物資の提供はきっかけにすぎない。人と人とのつながりが分断されるコロナ禍において、新たなつながりを生み続けるよう活動していきたい」と話している。
常設の回収場所など詳細は同団体HPで確認できる。
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