俳句コーナーVOL.25 2021年10月入選作品を紹介!
2021.10.10
8月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
遺されし五玉算盤西鶴忌
豊中市 上杉 千代子
有名人の忌日も季語として俳句の中で使われています。西鶴忌は陰暦の八月十日。今は使われなくなった五玉算盤。多くの人が使ったであろう艶やかな算盤玉が西鶴の忌日を修するものとしてこの上なく適切だと思います。
【 入 選 】
空蝉を載せて遮断機上がりけり
吹田市 辻井 康祐
一瞬を見逃さなかった鋭い目を感じます。常に詩人としての目が必要です。
8月の空や飛行機雲白し
箕面市 大石 典子
八月の空は特別です。飛行機雲はいつも同じ白色ですが、違って感じます。
始発駅終着駅も合歓の花
吹田市 秋山 寛
驚きが詩となりました。見逃してしまいそうなことを心に留めることです。
眼の透けてより空蝉の貌となる
箕面市 高橋 真美
「眼の透けて」が眼目。この発見が俳句としての詩になってゆきます。
空蝉や夢のつづきを見つづけよ
豊中市 小倉 佳子
空蝉(うつせみ)は、蝉の殻。はかない物への優しさを感じます。
【 佳 作 】
秋風に醤油(ひしお)の匂う焼きにぎり
吹田市 小澤 桔梗
黙祷のサイレン遠く秋の川
箕面市 高橋 真美
浴衣着て前歯の大き笑顔の子
茨木市 松尾 むつ子
新涼やラジオ体操第二まで
箕面市 大石 典子
石ころの影長くなり秋の声
西宮市 宮部 志津枝
◆ つぶやき評 ◆
俳句を作る時に必要な要素として発見と驚きがあります。小さな発見、ささやかな驚きが俳句という詩になってゆきます。事あるごとにこのような心持で物や事に接すれば、詩心が育まれてゆきます。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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