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-高槻市-行先表示は「蒸37サウナ」日本初のサウナバスが運行中

2022.05.31

「サ活(サウナを楽しむ活動)」「サ飯(サウナ後の食事)」「サ旅(サウナ施設を巡る旅)」—さまざまな用語が生まれサウナブームが再燃するなか、路線バスをサウナに改造した「サバス」が誕生した。企画担当者は「近くに来たらぜひ“ご蒸車”を」と呼びかけている。

 

廃車予定の路線バスをサウナに

サウナバス(通称:サバス)を企画したのは「リバース」(高槻市)の代表・松原安理佐さん。当時、兵庫県を拠点に運行する「神姫バス」で、新規事業の立ち上げに携わっていた。コロナ禍でバス利用者が減少し、予算が限られるなか廃車予定の路線バスを使った事業を模索していた。そんなとき偶然インターネットでフィンランドのサウナバスを知り、ピンときた。そこで日本最大級のサウナ検索サイトを運営する「サウナイキタイ」のメンバーに連絡。「『路線バスを使ったサウナってどう思いますか』って聞いたんです。そしたら『実現できたらおもしろいですね!』と言ってもらえて。いけるのかなと思いました」。

 

サウナ室。最後部座席で寝サウナができる。

私費を投じ、出向起業へ

当初、サウナバスは社内の新規事業として企画していたが、会社に在籍しながら起業する「出向起業」なら、国の補助金を受けられると知った。「松原さんなら、できるんじゃない?」。上司の後押しもあり、思い切って新たに会社を立ち上げることに。

資本金や会社設立費は私費を投じ、昨年5月「リバース」を設立した。サウナに改造するアイデアには「売上が立つかわからない」「コストがかかりすぎる」などの声があったものの、「どうせやるならおもしろいものをやりたい」と実現に向けて走り出した。

 

サバスを企画した松原安理佐さん。 ナンバープレートも「イイサウナ(1137)」

「作っていく過程は大変でした。『これで良いサウナになるのか』とか『出ていくお金これで大丈夫?』とか(笑)」。「サウナイキタイ」のメンバーをはじめ、バスの整備士、設計士など誰も経験したことのない製作現場。互いのノウハウを共有し、手探りのスタートから約4か月後の今年1月、国内初の路線バスを使ったサウナが完成。「イメージ通り作ってもらえて、心が躍りましたね」。

 

「降車ボタン」で「オートロウリュ」

サウナバスには「バスっぽい感じを残したい」と多くの廃材が使用されている。サウナ室の温度計はつり革、休憩スペースの椅子はバスの座席を再利用。「降車ボタン」を押すと、熱したサウナストーンに水がかかり蒸気が発生する「ロウリュ」が楽しめる仕掛けも。水を放出するノズルにはバスのウォッシャーノズルを使うこだわりようだ。

 

オートロウリュができる「蒸気降りますボタン」

 

サウナ室は、バスの座席と同じレイアウトでベンチを配置するなど、バス空間をそのまま生かした構造で海外でも話題に。今年3月に体験会を実施すると、取材依頼が相次ぎアウトドア雑誌やバスの専門誌など多数のメディアに取り上げられた。ドイツのテレビ局が取材に訪れるなど海外でも話題に。設置の問い合わせも多く、現在は温浴施設やイベント会場にレンタルしている。「お客さんたちがみんな写真をSNSにあげてくれて。『不思議な体験だった』『サウナ室のクオリティーも高い』と言ってもらえると、やってよかったなって」。

 

今後は全国展開も視野にいれている。「いろんな施設を回っているので、近くに来たらぜひ“蒸車”しにきてください」。

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