俳句コーナーVOL.44 入選作品を紹介!
2023.05.10
3月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
飛ぶ時に天道虫の羽は横
熊本市 貴田 雄介
俳人としての眼がしっかりと感じられます。言葉に頼らないで、見たことを素直に描いているのがよい。飛び出すときの羽は斜めではなく横に真直ぐに開いているということを見つけることが詩としての俳句の原点です。
【 入 選 】
苔に雨あをく染みゆく巣箱かな
枚方市 菅井 香永
「あをく」が眼目。巣箱の巣箱たる姿がすっきりと見えます。
春の風酒蔵の中抜けにけり
吹田市 秋山 寛
瞬時の把握。春風はあちらこちらに吹きますが、静かな酒蔵も似合います。
白梅や狛牛までの縄電車
和泉市 押見げばげば
なつかしい。今でも遊びとしてあるのでしょうか。社が遊び場だった頃です。
いち早く日射とらえし犬ふぐり
高槻市 片岡 政代
あの水色の犬ふぐりならと思います。「いち早く」と感じたことも手柄です。
春風に包んで声の届きそう
豊中市 山上 秋葵
どのような声でしょうか。そう考えると春風がまた気持ちよく感じられます。
【 佳 作 】
花冷や屋台の隅に愚痴ひとつ
高槻市 葉月庵 郁斗
春光やほろと崩るる腹の石
茨木市 暖井 むゆき
図書館へバス停二つ花辛夷
吹田市 秋山 寛
自らも風となり風車回す
熊本市 貴田 雄介
浅春のにほふ御守り袋かな
和泉市 押見げばげば
◆ つぶやき評 ◆
俳句は言葉で作ります。その言葉には俳句らしいというものはありません。見てとった言葉、感じた言葉でよいのです。あれこれ言葉を探していると、詩情が逃げて行ってしまいます。瞬時の素直な言葉が詩を生みだします
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)
1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介
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