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‐豊中市‐ ニュータウンに新たな地域交流の場「千里ヒトハコラボ」9月開館

2024.09.04
千里ヒトハコラボ内の「みんとしょ」完成イメージ

 

みんなでつくる、みんなの図書館

かつてのニュータウンの面影が残る新千里南町近隣センター(豊中市)に、新たな私設図書館「千里ヒトハコラボ」がオープンする。9月1日のグランドオープンに向け、着々と準備が進められている最中だ。同施設は全国に80カ所以上ある「みんなの図書館」の仕組みを採用し、「一箱本棚オーナー制度」を導入している点が特徴。月額利用料を支払いオーナーとなった地域住民が、縦横35cmの自分の棚に好きな本を並べることができる。

地域のつながりを生む新たな居場所として

千里ヒトハコラボには図書スペースのほか、カフェやミーティングのスペースが用意されており、各種スペースの一角でイベントやワークショップも開催できる。店番は本棚オーナーが交代制で担う仕組みで、オーナーたちの創作物などを販売する「チャレンジショップ」の導入も計画中だ。

プロジェクトを主催するのは、「千里キャンドルロード」や「灼熱!ウォーターバトル」など地域密着型のイベントを多数実施してきた市民グループ。発起人の一人である大阪芸術大学の吉武宗平教授によると、千里ヒトハコラボは「まち暮らしの実験場」との意味合いもあるという。

「これまで関わった市民イベントを経て、日常の中でも人々がつながり楽しめる場づくりができないかと考えるようになり、仲間とアイデアを練ってきました。千里ヒトハコラボの活動は、本棚オーナーさんたちのアイデアと行動力に委ね、運営者サイドは少しだけサポートをするイメージです。まち暮らしが今よりも少し楽しくなるような、みんなの居場所になればと思っています」地域の力で作り上げる
新しい試み

開設場所である新千里南町近隣センターは、かつて大阪万博が行われた1970年に竣工。まさに千里ニュータウンを見守り続けてきた存在だ。そんな街の歴史が刻まれた場所を、主催者やオーナーたちも改装作業に参加しながら、街のにぎわいを生み出す新たな空間として生まれ変わらせた。他方で、総額600万円にも及んだ改装費・初期費用の半分は運営者側が負担し、現在は残りの資金をクラウドファンディングで調達すべく奔走している。本棚オーナーの募集や資金の確保がこれからの課題だ。

「いま住んでいるまちでの暮らしを、自分の力でもう少し楽しいものにしてみたいと思ったら、ぜひ千里ヒトハコラボに関わってみてください。人それぞれ、いろいろな関わり方があると思います。年齢、職業、性別は問いませんので、まずは気軽に遊びに来てください」と呼びかける吉武さん。地域の力を結集して作り上げる新しい試みが、千里ニュータウンにどのような変化をもたらすのか、今後の展開が注目される。

7月20日に開催した本棚塗装時の様子

 

4月14日に開催した第1回説明会と交流会の様子

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