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俳句コーナーVOL.70 入選作品を紹介!

2025.07.02

5月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。

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【 優秀賞 】

春愁や茶碗の沈むたらい水

豊中市 東村 美紀
盥に水を張って、茶碗や湯呑を洗っていた昭和。そんなことを思い出しながらもの憂い春を迎えています。盥の水は透き通っているでしょうが、それを見ている人の心持は少し曇っているようです。

 

【 入 選 】

母なるは寂しかりけり桐の花

吹田市 堀田恵美子
母というものは寂しい。桐の花がその寂しさを助長しているようです。

毛糸屋の扉くわらんとジキタリス

横浜市 沼野大統領
ほんわかとした毛糸屋の扉を出れば、ジキタリスの花。「くわらん」が要です。

折り合ひをつけてくるりと日傘かな

茨木市 角島 健二
ようやくついた折り合い。心も晴れ、日傘もすっきりと開きます。

十薬や本屋に猫の通り道

日野市 平井 都々
本屋の飼っている猫。店の中を通って、十薬の野へと出てゆきます。

花みずき犬ご機嫌にやってくる

吹田市 堀井咲千子
犬はご機嫌、主はそれほどいう感じ。水木の花がそのことを暗示しています。

 

【 佳 作 】

木工用ボンド透けゆく昼寝かな

和泉市 押見げばげば

豆飯のおかはり宵のビートルズ

目黒区 椿  泰文

点てる茶に泡の多きや愛鳥日

京都市 草夕 感じ

観音の腹の膨らみ苔の花

茨木市 にしの泊瀬

ピラティスの留まる角度水中花

横浜市 沼野大統領

 

 ◆ つぶやき評 ◆ 
この俳句コーナーは「優秀賞」「入選」「佳作」という三つのグループに分かれています。入選や佳作は複数ありますが、順番に優劣はありません。同じだということです。優秀賞は一句ですが、決まっていることではありません。

 

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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。

 

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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。

【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160

【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。

 

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山口昭男先生の最新巻の紹介

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