地域情報紙「City Life」が発信する地域密着のニュースサイト

-吹田市- モラトワ市と43年の絆 万博で出会う友情の証 ― スリランカブースに込められた歴史

2025.07.03
大阪関西万博に出展するコモンズA館にある「スリランカブース」。

 

大阪・関西万博には、南アジアの島国スリランカも公式パビリオンのひとつとして出展している。紅茶やスパイス、アーユルヴェーダなど、同国ならではの文化・産業が紹介されるブースには、開幕以来多くの来場者が訪れている。そんな華やかな万博の舞台の背後には、実は大阪・吹田市との静かなつながりの歴史がある。

スリランカ第3の都市であるモラトワ市と吹田市は、1982年に「友好交流都市」として提携。以降、自治体・団体・市民のレベルで交流を積み重ねてきた。2025年の本年は、その提携から43年目という節目を迎える。

友好の始まりは1982年7月、モラトワ市長夫妻の来日に端を発し、吹田市役所にて正式な提携調印式が行われた。同年秋には、吹田市長と市議団がスリランカを訪問し、両市の関係が本格化する。翌1983年には、スリランカ民族舞踊団が吹田まつりに特別参加するなど、文化交流が実現。民間団体である吹田西ロータリークラブも初代名誉領事との縁を得て、独自の交流と支援活動を開始した。

両市の絆は年を重ねるごとに深まり、1991年にはロータリークラブの支援によって、モラトワ市内に住宅82戸を整備した「ロータリー村」が完成。救急車の寄贈や職業訓練センターの建設など、地域社会に根ざした協力が続けられている。2013年には提携30周年を記念し、吹田市から17名の訪問団がモラトワ市を訪れ、市民による盛大な歓迎パレードが催された。近年では、吹田市内で開催される地域イベントにもスリランカ名誉領事館が積極的に参加しており、すいたEXPOや産業フェアでは香辛料や紅茶などの物産展示を通じて、異文化への理解を深めている。

1991年、「ロータリー村」住宅建設開村式のようす。(写真提供:吹田西ロータリークラブ)

 

30周年時にモラトワ市に訪問した際の、歓迎パレードのようす。(写真提供:在大阪スリランカ名誉総領事館)

大阪・関西万博のスリランカブースも、そうした民間交流の延長線上にあると言える。ブース内には、スパイスや紅茶の展示だけでなく、持続可能な農業や観光開発への取り組み紹介も含まれており、地場産業とSDGsの共存を目指す姿勢が打ち出されている。

2009年から在大阪スリランカ名誉総領事のD.W.アルッカマゲさん。日本に在留するスリランカ人のサポートに日々取り組む。

 

受付で取材に応じてくれたハスさん。

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。