地域情報紙「City Life」が発信する地域密着のニュースサイト

2020年4月 隣り合う兵庫・大阪の4市が連携「NATS」誕生

2020.01.04

吹田市が2020年4月に中核市へと移行し、同時に全国でも初めて4つの中核市(ほか西宮市・尼崎市・豊中市)が隣り合うことになる。今回の移行を機に、吹田市は大阪府からの権限移譲を進め、市民サービスの向上を図ると共に、4市が府県の枠組みを越えて連携する新たな“都市間ネットワーク”「NATS(ナッツ)」の形成を目指す。

中核市4市が隣り合うことに気づいたのは、吹田市職員がぼんやりと地図を眺めていた時だったとか。NATSは西から順番に市の頭文字を取って命名。形もナッツに似ている?

中核市とは、政令で指定する人口20万人以上の市で、事務権限を強化し住民の身近なところで行政を行うことができるようにした都市制度。現在、府内では高槻市、東大阪市、豊中市、枚方市、八尾市、寝屋川市の6市が該当する。

中核市の要件を満たす人口約37万人の吹田市は、多様化・複雑化する市民ニーズや超高齢社会の課題に柔軟に対応できるまちづくりのため、中核市移行を目指してきた。2017年には中核市移行推進本部を設置し、市長を含めて議論を重ね、市民との意見交換会や出前講座なども定期的に実施してきた。

 

主な市民サービスへの効果は①地域の保健衛生の推進②行政サービスの効率化・迅速化③特色あるまちづくりの推進の大きく3つ。中でも特に①に関して変化が大きいという。これまで市の保健衛生を担う機関は、健康相談や保健指導などを目的として保健師や看護師、栄養士などが配置される「保健センター」だった。そこに中核市などに設置される「保健所」が加わる。

保健所には医師や獣医師、薬剤師などの専門家が新たに配置され、これら専門家の判断が必要な食中毒や感染症の恐れがあった場合、今後は市で一括して、迅速な対応が可能となる。また平常時においても、専門家の知見を活かすことで、きめ細かな地域保健、健康づくり施策の推進ができる。②については、これまで市への申請後にさらに府の審査が必要だった身体障がい者手帳の交付や、ひとり親家庭に対する修学資金などの貸付について時間が短縮できる。

今回、新たな取り組みとして注目されているのが、西宮市・尼崎市・豊中市・吹田市 が連携する「NATS(ナッツ)」だ。それぞ れが「関西住みたいまちランキング」で上 位に位置するまちであり、交通の利便性 が良いという立地を生かした連携などが 考えられる。その第一歩となるのが2020年 1月のキックオフミーティング「NATS 0(ナ ッツゼロ)」。各市長が一堂に会し、新たな 都市間のネットワーク形成の方法を探る。

「NATS 0」ポスター

MCに吹田市在住の朝日放送テレビアナウンサー・堀江政生さんを迎え、対話を“見える化”する「グラフィックレコーディング」を用いて、来場者にその場の熱量を伝えながら、効率的な議論の拡散と収束を図る。

「NATSの方向性についてはまだ何も決まっておらず、今回のミーティングが本当のスタートです。行政の話だけではなく、市民の皆さんが身近に感じられるような、文化・芸術やスポーツの繋がりも今後あるかもしれません。ぜひ関心を持っていただければ」と担当者は話している。

中核市連携シンポジウム「NATS 0(ナッツゼロ)」

2020年1月25日 大阪学院大学2号館(吹田市岸部南2)
9時45分~12時 入場無料・申し込み不要
問い合わせ先
吹田市中核市移行準備室 06-6155-5782

記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。