俳句コーナーVOL.73 入選作品を紹介!
2025.10.02
8月25日締切りでご投句いただいた中から、
山口昭男先生に入選作品を選んでいただきました。
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【 優秀賞 】
秋暑しサインポールの赤と青
京都市 草夕 感じ
サインポールとは理髪店の前でくるくると回っている看板です。その色を取り上げることで、秋の暑さのうっとうしさを描きました。サインポールというだけでその色はわかりますが、言葉で見せることで強めたということです。
【 入 選 】
花蓮真っ正面に動かざり
大津市 近江 菫花
蓮の花を気持ちよく描きました。蓮の花だから真っ正面が生きています。
巻尺のるるると巻かれ夏終る
日野市 平井 都々
巻尺を巻いて収めれば夏の終わり。このきっぱり感が気持ちよい。
鶺鴒や古墳の風を明るうす
豊中市 山上 秋葵
古墳の風を明るくするとは的を得た捉えです。鶺鴒の新しい一面です。
本心を言ったばかりに氷水
大阪市 小倉 佳子
迷った挙句の英断でしたが、後悔が残っています。氷水がさらに冷たい。
揚げパンの砂糖ましかく送り梅雨
和泉市 押見げはげば
「砂糖ましかく」が発見。梅雨の末期の雨を眺めての揚げパンもよいもの。
【 佳 作 】
学び舎の屋根の形に夕焼けす
高槻市 黒田 豊子
自転車をきれいに並べ玉蜀黍
千歳市 村瀬ふみや
笛吹きのをらず太鼓の秋祭
豊中市 安藤 知明
レシートの長々と出て秋暑し
日野市 平井 都々
蝙蝠の四方八方制圧す
熊本市 貴田 雄介
◆ つぶやき評 ◆
俳句では、思いを言葉にしてしまうとほとんどの場合失敗します。それは、俳句の言葉が短いからです。どうしても押し付けになってしまいます。それでも思いを伝えたい。季語やものに託すことですっきりさせてください。
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〈 選 者 〉 山口 昭男(やまぐち あきお)

1955年 神戸市生まれ。1980年「青」に入会。波多野爽波に師事。
2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。編集担当。
2010年俳誌「秋草」を創刊し主宰する。毎月発行。句集に『書信』『讀本』『木簡』『礫』がある。
2018年句集『木簡』で読売文学賞受賞。日本文藝家協会会員。
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【 俳句の応募方法 】
氏名・住所・年齢・明記のうえ、ハガキ、封書、FAX、下記の応募フォームのいずれかからご応募ください。
【 宛 先 】
〒566-0001 大阪府摂津市千里丘1-13-23
株式会社シティライフNEW 俳句係まで
FAX 06-6368-3505
https://pro.form-mailer.jp/fms/f413b102177160
【 応募フォーム 】
※締め切りは毎月25日必着
※いずれも一人5句まで
※掲載は次々号となります
※佳作は掲載をもって発表とさせていただきます。
※お名前と作品を掲載します。
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山口昭男先生の最新巻の紹介

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記事内の情報は取材当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。