「ずうのめ人形」澤村伊智著(KADOKAWA)/編集わっちゃん
冒頭のリアルな描写にグッと引き込まれて、情景を脳内再生してしまいます。
とにかく伏線の回収がすごくて、技巧的に物語が組み立てられている印象です。テンポよく話が進んで「間」がない。
それが「人形がだんだん近づいてくる」イメージと重なって、恐怖感をより一層あおってきます。
特筆すべきは「人間の闇」に関する描写。
確固たる強さ、みたいなものをもった人物が出てこない。だから読んでいて「そう考えちゃうよね…」って共感するところもあって。
もしかしたら一番怖くて愚かで悲しいのは人間なのかもしれないと思わされました。
あと、“原稿”とか“編集”とかいう言葉が出てくるので、親近感が湧きました(笑)。